(※写真はイメージです/PIXTA)

「司法書士」といえば、まさに相続のプロというべき資格の一つ。しかし佐伯知哉氏(司法書士法人さえき事務所 所長)は、「生前贈与」の相談は結局「しない」という選択に行きつくことが多く、あまり司法書士の仕事にならないといいます。その理由を、生前贈与の問題点や、生前贈与の必要性の両面から見て行きましょう。

「親に生前贈与をさせたい」という相談は多いが…

よくいただくご相談として、「将来の相続のことを考えて、親から事前に贈与してもらいたいのですが…」という内容があります。

 

私は司法書士なので特に不動産に関するご相談が多いのですが、こうした生前贈与のご相談は、よくよくお話をしてみると問題が出てきて、結局は見送る形になることが本当に多いのです。

 

そこで本稿では、何となく生前贈与を行っておいたほうがいいのかな?と考えているような方々に向けて、生前贈与にはどんな問題があるのか、その生前贈与は本当にする意味があるのかについて解説したいと思います。

生前贈与のよくある問題(1)税金

■基本的に、相続税より贈与税のほうが高い

まず、生前贈与のよくある問題として一番大事なのは、税金の問題です。

 

図表1は、国税庁のホームページに掲載されている贈与税の速算表です。
 

出典:国税庁HP(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm)
[図表1]贈与税の速算表(一般贈与財産用) 出典HP:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm)

 

贈与税の速算表には、110万円という基礎控除額を超えた分にかかる税率と、控除額が記載されています。贈与は、年間110万円までであれば税金はかかりませんが、110万円を超えた部分に対しては贈与税が課されます。

 

ざっと見ただけでも、贈与税の税率は結構高いというのがおわかりになるでしょう。

 

本稿では具体的な計算は省略しますが、仮に1,000万円以上の贈与を行ったとしましょう。基礎控除額(110万円)を超える部分の価格が、1,001万円からは贈与税率45%になります(図表2)。納税するのは贈与を受けた人ですから、せっかく贈与をしてもらっても、およそ半分は税金として国に持っていかれることになるのですね。

 

出典:国税庁HP(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm)
[図表2]贈与税の速算表(一般贈与財産用) 出典:国税庁HP(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm)

 

次に相続税の速算表を見てみましょう(図表3)。

 

出典:国税庁HP(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm)
[図表3]相続税の速算表 出典:国税庁HP(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm)

 

同じ「1,000万円を超える場合」にかかる税率であっても、贈与税では45%、相続税では15%。控除額に多少の違いがあるとはいえ、税率の差は一目瞭然です。基本的には贈与税のほうが高くなります。

 

あまり考えずに生前贈与をしてしまうと、ただ税金を多く支払うだけになってしまい、結局は相続税対策にならない可能性もあるのですね。

 

生前贈与を考えるのであれば、税率についてきちんと理解し、税金面の問題をクリアしているかどうかを考えなくてはいけません。本来は税理士を交えて相談しなくてはいけない部分です。

 

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