(写真はイメージです/PIXTA)

中小企業の経営者にとって事業承継は悩みのタネです。今回は、企業法務に詳しいAuthense法律事務所の西尾公伸弁護士が、失敗の根本的な理由から、事業承継を成功させるためのコツを解説していきます。

高齢化、後継者難…事業承継における課題

中小企業における、事業承継の現状と問題は、次のとおりです。

 

■中小企業の数が多い

少し古いデータではあるものの、中小企業庁の調査によれば、2016年時点での中小企業と小規模事業者の数は357.8万者であるとされています

※ 中小企業庁:中小企業・小規模事業者の数(2016年6月時点)の集計結果を公表します

 

また、このうち小規模事業者が304.8万者を占めています。

 

■経営者の「高齢化」

東京商工リサーチの調査によれば、2020年12月時点における経営者の平均年齢全国の社長の平均年齢は62.49歳で、前年調査から0.33歳伸びたとされています
※ 東京商工リサーチ:社長の平均年齢は62.49歳、高齢の社長ほど業績悪化が鮮明に「全国社長の年齢調査」

 

また、社長の年齢分布は70代以上の構成比が31.8%で、2年連続で最多レンジとなりました。

 

■企業のうち約6割が「後継者難」

帝国データバンクの調査によれば、2021年の調査時点で、調査対象となった全国・全業種約26万6000社のうち後継者が「いない」または「未定」と回答した企業が約16万社(調査対象の61.5%)にのぼったとされています
※ 帝国データバンク:全国企業「後継者不在率」動向調査(2021年)

 

後継者がみつかっていない企業は少なくなく、後継者難にある現状を示す結果となっています。

事業承継実行までの「3STEP」

続いては、事業承継の一般的な進め方の例を紹介します。

 

実際の事業承継の進め方は企業によってさまざまです。なぜなら、企業ごとに状況や事業承継へのハードルなどが大きく異なるからです。

 

STEP1.自社に合った方法を検討する

はじめに、経営者が中心となり、自社に合った事業承継の方法を検討するところからスタートします。なぜなら、子など特定の親族へ承継させたいのか、M&Aなど外部企業へ承継させたいのかなどにより、その後の進め方が大きく異なってくるためです。

 

迷いがある場合にはそれぞれのメリットデメリットをよく検討し、方向性を定めていくとよいでしょう。自社のみで検討していては、検討すべき項目に漏れが生じたり、承継へのハードルの洗い出しが困難であったりするため、事業承継に強い弁護士などの専門家とともに検討していくことをおすすめします。

 

STEP2.関係者との相談やすり合わせ

方向性が決まったら、次に、関係者との相談やすり合わせを行います。反対意見が出たり議論が紛糾したりする可能性がありますので、関係者へ話す前に、方向性に関して意見をしっかりと確立しておきましょう。

 

また、弁護士立ち合いのもとで話し合いを進めることも選択肢のひとつとなります。

 

STEP3.事業承継を実行

関係者との相談やすり合わせが済んだら、最後に、事業承継の計画を実行します。実行に際しては、あらかじめ専門家とともにスキームを組み立て、時間をかけて実行していくことが多いでしょう。たとえば、株式の場合、株価が高いにもかかわらず、後継者たる親族や従業員にそのまま株式を贈与してしまえば、高額な税負担が生じるおそれがあります。

 

持ち株会社の設立や種類株式の活用など、企業に合ったスキームを構築し、慎重に実行していくことが必要です。

 

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    本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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