(画像はイメージです/PIXTA)

賃貸経営をしているオーナーが抱える問題のひとつが、入居者との明渡し交渉です。しかし賃貸借契約を解除するには長期間の家賃の滞納や他の入居者とのトラブル等の正当事由が必要となり、簡単にできるものではありません。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、賃貸借契約の解約について高橋広希弁護士に解説していただきました。

管理会社が説明もせず勝手に入居者を変更し…

単身者用アパートを経営している相談者のたんぽぽさん(仮名)は、管理会社が勝手に入居者を変更してしまい困っています。入居者は賃借人の親族のようですが、管理会社に聞いても詳しく教えてくれないようです。たんぽぽさんは賃貸借契約の解除を検討していますが、入居者が誰なのかわからないため、解除したくてもできない状況です。

 

そこでココナラ法律相談「法律Q&A」に次の2点について相談しました。

 

  1. どのような手続きをとれば、入居者が誰か分かるのか
  2. 上記を弁護士に依頼した場合、費用はどのくらいかかるのか
     

占有者の氏名等が分からないときの特定方法

管理会社が、詳しく事情を教えてくれないというのは、管理委託契約上の義務(一般的に管理を委託されている業者には、委託者に対して管理業務に関して報告すべき義務が規定されていることが多いと思います。)を果たしていないといえ、管理会社の変更等も検討する必要があると思います。

 

一般的な賃貸借契約では、契約締結時に借主と同居人が誰であるかという点も契約の内容とすることが多く、また、民法612条1項では、賃借人の承諾を得ずに、無断で賃借権の譲渡や転貸を禁止しています。

 

たんぽぽさんは、単身者用アパートを賃貸しているようですので、入居者は契約当事者の借主のみとなっているはずで、借主の親族であったとしても、賃貸借契約上は、無断転貸となります。したがって、現在の状態は賃貸借契約の内容に違反することになります。

 

そうすると、賃貸借契約の内容に違反することから、借主に対して、無断転貸を理由として賃貸借契約を解除し、退去を求めるということになります(民法612条2項)。ただし、賃貸借契約の解除が認められたとしても、入居している人が借主と別の人である場合には、当然に退去が実現するわけではありません。

 

借主に対して、建物明渡しの訴訟を提起し、認容判決を得たとしても、実際に入居している人が借主以外の場合には、実際の入居者(占有者)に対して強制執行をすることはできません。本件では、入居者が不明なため、建物の明渡しをするためには、入居者の特定が不可欠です。

 

どのような手続きで入居者を特定するかという点ですが、本来であれば、管理会社が、借主に連絡をしたり、対象の部屋を訪問等して、調査することになりますが、本件では、管理会社が勝手に入居者を変更しているという事情があり、それが期待できません。

 

そうすると、賃貸人であるたんぽぽさん自身で調査し、実際の入居者を特定する必要があります。

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