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今後の市場見通し…押さえておきたい「3つのリスク」

今後の金融市場では、

 

①金融引き締め

②トリプル安

③ロシアの暴発

 

の3つの要素を考える必要がありそうです。

 

まずは、①金融引き締めについて。

 

特に、ドル建ての債券や借り入れの規模を考えると、米国の利上げに要注意です。1982年にも1994年にも、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げに伴うドル金利の上昇によって、メキシコで債務危機が生じ、その後、他の中南米諸国やアジア諸国に波及しました。QT(量的引き締め)にも注意が必要です。

 

次に、②英国のトリプル安に代表されるように、先進国による(物価対策のための)財政出動に注意が必要でしょう。ただし、英国や日本については、自国通貨建ての債務であり、中央銀行が国債を無制限に買い入れることができるため(インフレが大きな心配としても)、デフォルトの心配はありません。

 

問題は、英国のトリプル安が、ユーロ圏の一部の国に飛び火することです。ユーロ圏の加盟各国は金融政策が単一であるため、各国の中央銀行(NCBs)が自由にユーロを発行して国債を買い入れることができません。

 

ギリシャが実例であったように、ユーロ採用国は実質的には外貨建ての債務を抱えている状態であり、1980~90年代当時のメキシコと似た状況です。

 

債券市場の状況が、①各国の財政出動を思い留まらせるか(→景気が悪化し、内政に不満が出る)、②ユーロからの離脱を再度想起される事態にいたるかもしれません。イタリアの新政権は英国と同様に、巨額の財政出動を行う可能性があります。

 

最後に、③ロシアです。現在、プーチン大統領は孤立無援の状態といってよいでしょう。ウクライナ東・南部4州の併合(とそれに続く停戦交渉の呼びかけ)を急ぐほどにロシア側の戦況は危うくなっているようです。あわせて、国内は予備役の招集を機に厭戦ムードが漂っているとされます。

 

中国の習近平・国家主席は、経済制裁には加わらず、国内指導部向けにも一時はプーチン大統領に「肩入れ」する姿勢を示したとされるものの、ロシア軍の劣勢で当てが外れ、内政固めのためにも「ロシアと距離を置く」と指摘されています。おそらくは、欧米諸国のみならず、中国ですらも「プーチン後のロシアをどうするか」を見据えている状況でしょう。

 

こうしたなか、プーチン大統領は、自らの地位を守るために、戦局を打開する一手を考える可能性があります。そうした「準備」は人工衛星によって事前にわかるようですが、問題は、その準備が始まった際に、その情報がどこまでの範囲に伝えられるのかでしょう。

 

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