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金融緩和を行った国ほど、デフレからの脱却も早い

2022年のノーベル記念経済学賞が、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ元議長ら3名に授与されることが発表されました。

 

バーナンキ元議長は、大恐慌について、(すでにフリードマン=シュワルツなどによって研究されていた)①貨幣供給の縮小に加え、②取り付け騒ぎや企業破綻などが銀行部門の与信能力に与える悪影響について明らかにしました。

 

今回の受賞理由に関連する部分ではないものの、彼の主著から、次の一節を引用します。

 

「いち早く金本位制度から離脱した国は、少々の遅れを伴いながらも、貨幣供給や物価水準を引き上げることができた。一方、金本位制度をとり続けた国は、デフレーションに追い込まれた。金本位制度を離脱した国が、金本位制度を採用し続けた国よりも早く大恐慌から回復したという証拠は、相当はっきりしている。確かに、金本位制度にとどまりながら、顕著な経済回復を示した国はない。さらに言えば、顕著な経済回復の程度が、為替制度の選択に強く依存しているということは、貨幣的要因が重要であるという強力な証拠である」(ベン・S・バーナンキ著『大恐慌論』)

 

簡単に言い換えれば、自国通貨を安くして金融緩和を行った国ほど早く経済活動が回復し、デフレからも脱却したということです。

 

これと同じ状況を2007~2009年の世界金融危機のあとに見なかったでしょうか。

 

世界経済が大幅な収縮に陥り、他国が金融緩和を行っている一方で、金融緩和を躊躇し、通貨高とデフレが続いた日本です。

 

[図表1]日米の中銀保有資産(2007年末=100)・日米の鉱工業生産(2007年末=100)
[図表1]日米の中銀保有資産(2007年末=100)・日米の鉱工業生産(2007年末=100)

 

逆に、2013年4月以降、日本は積極的な金融緩和に転じ、「デフレではない」状況にまでたどり着きました。このことはまた「デフレが生産年齢人口の減少によるものではない」ことを示しているでしょう。

 

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