(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、フィデリティ投信株式会社が提供するマーケット情報『マーケットを語らず』から転載したものです。※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。

投資家の「精神力」が試されるのはこれから

今年6月のこと。とある集まりで、オンライン証券の幹部が「今年はウクライナ危機で、金融市場が調整しているが、個人の積み立て投資は淡々と入ってくる。隔世の感がある」といった趣旨の話を述べられました。

 

それを聞いた筆者はこころのなかで「それはまだわからん」とつぶやきました。なぜなら、今年は円安によって、日本国内の個人投資家がほとんど損失を感じていないためです。

 

[図表1]ドル建てと円建てのS&P500(昨年末=100、トータルリターン)
[図表1]ドル建てと円建てのS&P500(昨年末=100、トータルリターン)

 

いざ、「円建ての海外株価」が下落し始めれば、国内の投資家がどう動くかはわかりません。リテラシーや精神力はまだ試されていないのです(→2020年のパンデミック時には、巨額の金融緩和と財政出動で「ろうばい売り」する前に金融市場はすぐに戻りました)。

 

「われわれが人間である」ことを思い出せば、「下落は恐怖感をもたらし、平常心ではいられなくなる」と考えておいたほうがよいはずです。筆者は「恐怖を感じない下落に留まっているうちは、まだ底は訪れていない」と考えています。

なぜ、書店には資産運用と自己啓発の本が多いのか

もしも、個人投資家が、もはや「投資家心理」に左右されなくなっているのならば、書店にあれほどの(古今東西の)資産運用関連の書籍が並べられていることはないでしょう(→似たことは、自己啓発関連の書籍にもいえるでしょう)。

 

われわれは人間であり、われわれには投資家心理を克服できていない長い歴史があります。これからも個人投資家は投資家心理に左右され続けるでしょうし、資産運用関連の書籍やビジネスは続くでしょう。

 

よくある投資家向けのアンケートで、資産運用について正しく回答する人の割合が増えていても、それは「平時」における画面上のクリックにすぎません。「いざ・有事」のときにパニックに陥らず、正しく実行できるかはまったく別の話です。

 

そうした「いざ」というときこそが、資産運用のアドバイザーが役に立つ(べき)ときです。

 

下落するリスクがあるときには、「リスク」としてそう伝えるべきでしょう。同時に「戻り」についても話すべきでしょう。

 

飛行機の機長アナウンスのように、あらかじめ伝えておけば、実際に下落が起きたときには「あのとき言ってくれてたね」となります。逆に、下落が起きず、「話が違うじゃないか!」と言われる場合もありますから、分散が重要です。

 

資産を「守る」「増やす」「次世代に引き継ぐ」
ために必要な「学び」をご提供 >>カメハメハ倶楽部

次ページ円安が止まると、なにが起きるのか?

【ご注意】
•当資料は、情報提供を目的としたものであり、ファンドの推奨(有価証券の勧誘)を目的としたものではありません。
•当資料は、信頼できる情報をもとにフィデリティ投信が作成しておりますが、その正確性・完全性について当社が責任を負うものではありません。
•当資料に記載の情報は、作成時点のものであり、市場の環境やその他の状況によって予告なく変更することがあります。また、いずれも将来の傾向、数値、運用成果等を保証もしくは示唆するものではありません。
•当資料にかかわる一切の権利は引用部分を除き作成者に属し、いかなる目的であれ当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録