円安が止まると、なにが起きるのか?
前回は、日本の財務省による為替介入について「為替レートの方向性を変えるほどの効果はないだろう」と述べました。①為替市場の規模も大きく、②概してファンダメンタルズに左右されるためです。
しかし、仮に為替レートがドル安・円高に向かわずとも、円安基調が145~150円当たり止まれば、(次の節で挙げる)引き締めその他の要因の株価に対する悪影響を、日本の投資家は「もろに受ける」ようになります。
実際、過去は介入の効果は限定的ですが、過去は介入を止めれば、方向が変わる場合もあります。
その背景には、テクニカルな面もあるようですが、ファンダメンタルズに沿っていえば「為替介入を続け、効果がないとあきらめるころが、それまでに円高や円安を生じさせてきたテーマがクライマックスに達しつつある」場合があるためです。これは「損切りしたときが底」に似ているかもしれません。
パンデミックのときは「誰にも非はない」ということで、発生直後に巨額の財政出動や金融緩和が実行され、個人投資家は「ろうばい売り」する間もなく、株式市場はすばやく戻り始めました。
しかし、次はパンデミックのように、すぐに救済とはならず、インフレ圧力が減るまで、高めの政策金利(=利上げ後の据え置き局面)が続く可能性があるでしょう。
そこは、株価が調整する局面ですが、ドル高・円安にはなりにくい局面です。なぜなら、為替は将来の金融政策を読み込むわけですし、すでに利上げは終わり、「次は利下げ」が見えているためです。
そして最後は、利下げでドル安・円高となることで、「円建ての海外株価」はもう一段、下落するでしょう。
日本の個人投資家のみなさまや彼らをサポートされるアドバイザーのみなさまは、①今後の「円建ての海外株価」の動きをイメージしつつ、②投資余力を考えつつ、資産運用のプランを立てることが望まれます。
重見 吉徳
フィデリティ投信株式会社
マクロストラテジスト
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