(写真はイメージです/PIXTA)

後継者不在を理由に、他社に企業を買い取ってもらう「事業承継型M&A」を検討する企業が増えています。今回は「事業承継型M&A」の基本やメリット・デメリットなどについて、事業承継に詳しいAuthense法律事務所の西尾公伸弁護士が解説します。

 

政府の補助金・優遇制度について

事業承継型M&Aを行うにあたっては、補助金の活用が検討できます。たとえば、「事業承継・引継ぎ補助金」では、事業再編や事業統合に要する経費などの一部について補助を受けることが可能です。※2

 

また、事業承継型M&Aにともなって移転する不動産にかかる登録免許税や不動産取得税が軽減される制度も存在します。※3

 

これらの制度を活用するためには要件を満たす必要がありますので、事業承継型M&Aにて支援を受ける専門家へ相談するようにしてください。

 

※2 事業継承・引継ぎ補助金:令和4年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金

※3 中小企業庁:中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き(令和4年度税制改正対応版)

M&A以外の解決法

親族内に適切な後継者がいない場合、M&A以外の解決方法のひとつに、従業員への承継が挙げられます。長年ともに働いてきた信頼できる従業員がいる場合には、承継を打診してみることもひとつの手でしょう。

 

ただし、従業員への承継の場合には、株式の引き渡しがハードルになる場合があります。 なぜなら、株式を贈与すれば多額の贈与税の対象となる可能性がある一方で、従業員には株式を買い取るだけの資力がないことが少なくないためです。

 

また、比較的大きな企業である場合には、株式市場への上場も選択肢のひとつとなるでしょう。 上場することによりさらなる企業の発展を見込める他、経営者としても株式の売却による利益を手にすることが可能となります。ただし、上場には厳しい要件をクリアしなければなりません。

まとめ

後継者の不在が問題となっている企業が多いなか、事業継承型M&Aは今後ますます増加していくことでしょう。 後悔することのないよう、事業承継の手法はできるだけ早期から、慎重に検討をすすめることをおすすめします。

 

 

西尾 公伸

Authense法律事務所

弁護士

 

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本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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