(写真はイメージです/PIXTA)

後継者不在を理由に、他社に企業を買い取ってもらう「事業承継型M&A」を検討する企業が増えています。今回は「事業承継型M&A」の基本やメリット・デメリットなどについて、事業承継に詳しいAuthense法律事務所の西尾公伸弁護士が解説します。

 

事業継承型M&Aの正しい進め方・流れ

事業承継型M&Aの一般的な進め方は、次のとおりです。

 

STEP1:弁護士などの専門家へ相談する

はじめに、事業承継について弁護士などの専門家へ相談しましょう。この段階では、事業承継型M&Aを行うことの自社にとってのメリットやデメリット、ハードルとなり得るポイントなどを洗い出し、他の事業承継方法とよく比較検討してください。

 

勇み足で事業承継型M&Aを進めてしまう前に、そもそも事業承継型M&Aが自社にとって最適な事業承継方法であるのかを慎重に検討する必要があるためです。

 

STEP2:相手先企業を選定する

事業承継型M&Aを行うことに決まったら、相手先企業の募集と選定を行います。 相手先企業の見つけ方は、紹介などで探す他、M&Aマッチングサイトへの登録やM&A仲介会社への依頼などが選択肢となるでしょう。

 

相手先企業の候補が見つかったら、相手先企業と面談などを繰り返します。売ってから後悔してしまわないよう、売却条件や自社の企業風土との相性などをよく見極めることがポイントです。 交渉の際には、弁護士などの専門家に同席してもらうと安心です。

 

STEP3:秘密保持契約を締結しデューデリジェンスを行う

M&Aを行う前には、一般的に、買い手企業によるデューデリジェンスが行われます。デューデリジェンスとは、表面上の情報のみではわからない企業の価値を見極めるための手続きです。この結果を踏まえて、買い手企業が適正な購入価格を検討することとなります。

 

デューデリジェンスでは、決算書の情報を精査する他、簿外資産や簿外負債の把握や法務リスクの調査などが行われます。嘘をついたり資料を隠蔽したりすれば、後に損害賠償請求をされるなど大きなトラブルに発展する可能性が高いため、都合の悪い事実であっても隠すことなく全面的に協力しましょう。

 

企業を丸裸にする手続きですので、あらかじめNDA(秘密保持契約)を締結したうえで行うことが一般的です。

 

STEP4:最終契約を締結する

デューデリジェンスの結果を踏まえ、売却額など諸条件についての交渉がまとまったら、最終的なM&A契約を締結します。

 

M&A契約書のたたき台は、買い手企業側もしくは仲介会社にて用意されることが多いですが、非常に重要な契約ですので、あらかじめ弁護士に確認してもらうとよいでしょう。従業員の雇用継続など、重要であると考える条件が条項から漏れている場合や不十分である場合には、納得がいくまで交渉をしてから契約を締結してください。

 

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本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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