契約直後のフォロートークの効果
■契約後にしっかり“ボタン”を留める
「契約後にクーリングオフになったんです。お客さまも契約の時はとても前のめりだったのに……何が悪かったのでしょうか?」とガックリ肩を落として質問してくる営業の方って案外多いんです。これ、営業にとってはまさに“突然の婚約破棄”のようなものなので、結構、メンタルがやられます。
しかし、なぜ、いったん「これでお願いします」と契約書にサインされたお客さまが、翌日にはトーンダウンして「やっぱりやめます」となってしまうのでしょうか?
実は、これには2つの理由があるのです。
1つめが営業担当の強引な詰めによって、お客さまが「NO」と言えなかったケースです。この場合、お客さまは「キャンセルしたい」と連絡するのはお客さま窓口など、担当の営業には連絡しないことがほとんどです。なぜなら、お客さんは「またしつこく言われるんじゃないか」と怖がっているので、もう営業担当と二度と話したくないからなんです。
おそらく、「断られる」のを避けようとして、都合の悪いことを曖昧に伝えたり、支払い計画の説明をしなかったり、契約を急かしたのではないかなと思います。一生懸命にやってきた営業の人にとっては残念ですが、自分の「売りたい!」という気持ちを優先してしまったからです。そういう態度は敏感なお客さまにはなんとなく不快さを感じさせてしまうものなのです。
2つめの理由は周囲の反対です。先ほどお伝えしたように契約後にきちんと「未来MAP」のような説明ができていれば、お客さまはわくわくした気持ちを継続して持てることができます。しかし、ご家族や上司から反対されると断念してしまう人がいるのです(日本人は特に人付き合いを優先する人がとても多いのです)。
でも、せっかくわくわくと決断されたお客さまが、一歩も前に進むことなくスタートラインで引き返してしまうのは非常にもったいない。
だからこそ、この悲しい結末をできる限り避けようという目的で「バトンナップ(button up)」という契約直後のフォロートークをお勧めしています。
私はいつもセミナーの生徒さんや、顧問先のスタッフさんに、
「そのお客さまはどんな言葉で周囲の方(ご家族や上司)に伝えていると思いますか?」といったん想像してもらっています。
お客さまがきちんと説明されるかは結構怪しくて、たとえば保険に加入された場合でも「ちょっとこれ見といて、保険に加入したから」程度の伝え方になっている可能性が大きいのです。そのような伝え方をされたご家族はどんな反応をされるでしょうか?
また、会社の窓口として購入を検討されているお客さまが上司に「これ、なかなかよさそうですよ、この資料見ておいてください」程度の報告をしていたら、上司はなんと思うでしょうか? それも高額だったとしたら?
そんなことを目一杯想像してみると、「はい、これでご契約は完了です。これからもよろしくお願いします」程度で終わるなんて、とんでもないということがわかります。
それどころか「終わった! 次の新規だ」となっているとしたらもう救いようがない。
だから、私はこんな言葉を付け加えてきました。
つながりが目的、これが和田式バトンナップ(button up)です。
和田 裕美
作家、株式会社HIROWA代表取締役
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