(※写真はイメージです/PIXTA)

未だコロナ禍からの回復途上の日本の景気、緩和的な金融政策も続くなか、前年同期と比べ全投資額は大幅増もJ-REIT投資額は過去3番目の低水準に至った。さまざまな最新動向のデータをもとに2022年上期の不動産投資の実相をシービーアールイー株式会社(CBRE)の本田あす香氏が紐解いていく。

東京の期待利回りは引き続き低下

CBREが四半期ごとに実施している投資家アンケートによれば、東京の期待利回りは、全セクターで低下した(図表5、6、7)。なかでも、ホテル(東京主要5区、運営委託型)は2021年第4四半期以降3期連続で低下。旅行需要の回復期待やホテル案件が増加傾向にあること等が期待利回りの低下につながっていると考えられる。

 

出所 : CBRE, Q2 2022 利回りは下限値(中央値)と上限値(中央値)の平均
[図表5]: 期待NOI利回りの推移(東京) 出所 : CBRE, 2022第2四半期
利回りは下限値(中央値)と上限値(中央値)の平均

 

出所 : CBRE, Q2 2022 *2:期待利回りは投資家に対するアンケートに基づく。NOIベース、上限・中央値と 下限・中央値の平均値 調査開始年は、2003年7月オフィス、2007年10月マンション、2009年1月商業施設・ホテル・物流施設
[図表6]期待利回りの最新動向 出所 : CBRE, 2022第2四半期
*2:期待利回りは投資家に対するアンケートに基づく。NOIベース、上限・中央値と 下限・中央値の平均値
調査開始年は、2003年7月オフィス、2007年10月マンション、2009年1月商業施設・ホテル・物流施設

 

出所 : CBRE, Q2 2022 期待利回りは投資家に対するアンケートに基づく。 NOIベース、上限・中央値と下限・中央値の平均値。 調査開始年は、 2003年7月オフィス、2007年10月マンション、2009年1月商業施設・ホテル・物流施設
[図表7] 期待NOI利回り 出所 : CBRE, 2022第2四半期
期待利回りは投資家に対するアンケートに基づく。 NOIベース、上限・中央値と下限・中央値の平均値。
調査開始年は、 2003年7月オフィス、2007年10月マンション、2009年1月商業施設・ホテル・物流施設

 

また、地方都市のオフィス期待利回りも低下傾向が続いている。前期から横ばいだった大阪と福岡を除く4都市で期待利回りは低下。低下幅が最も大きかった札幌は、前期から10bps低下の5.00%と過去最低値を更新した。

 

物流施設の価格DIが大きく悪化

一方、CBRE短観指数(DI)はセクターによって違いが見られた(図表8、9、10)。東京Aクラスオフィスを対象としたDIは、「NOI」が前期から1ポイント悪化したものの、それ以外の全項目で改善。改善幅が最も大きかったのは「不動産取引価格」(対前期比+8ポイント)、次いで「不動産取引量」(同+6ポイント)だった。「売買取引価格は上昇」、「不動産取引量は増加」の回答率が増加したことが主因。

 

出所 : CBRE, Q2 2022
[図表8]CBRE短観DI(首都圏マルチテナント型物流施設) 出所 : CBRE, 2022第2四半期

 

出所 : CBRE, Q2 2022 *3:CBRE短観指数(DI=Diffusion Index)は改善すると答えた回答者の割合(%)から、 悪化すると答えた回答者の割合(%)を引いた指数 カッコ内の数値は対前期比。単位はポイント
[図表9]CBRE短観指数(DI)の最新動向 出所 : CBRE, 2022第2四半期
*3:CBRE短観指数(DI=Diffusion Index)は改善すると答えた回答者の割合(%)から、 悪化すると答えた回答者の割合(%)を引いた指数
カッコ内の数値は対前期比。単位はポイント

 

出所 : CBRE, Q2 2022 CBRE短観指数(DI=Diffusion Index)は改善すると答えた回答者の割合(%)から、悪化すると答えた回答者の割合(%)を引い た指数。期待利回りDIは、低下すると答えた回答者の割合(%)から、上昇すると答えた回答者の割合(%)を引いた指数
[図表10]CBRE短観指数(DI) 出所 : CBRE, 2022第2四半期
CBRE短観指数(DI=Diffusion Index)は改善すると答えた回答者の割合(%)から、悪化すると答えた回答者の割合(%)を引い
た指数。期待利回りDIは、低下すると答えた回答者の割合(%)から、上昇すると答えた回答者の割合(%)を引いた指数

 

それに対して、物流施設(首都圏マルチテナント型、図表8、10)のDIは7項目中5項目が悪化。「空室率」と「売買取引価格」がそれぞれ対前期比14ポイント、同13ポイントと大きく悪化した。「空室率は上昇」の回答率が増加し、「売買取引価格は上昇」が減少したことが主因。「賃料」DIもやや悪化しており、賃貸市場の需給バランス緩和を背景に、賃料上昇を見込む投資家が減少したことを示唆している。

 

とはいえ、半年先について「売買取引価格は上昇」の回答率は52%、「賃料は上昇」は41%と、いずれも「下落」の回答率を大きく上回っている。コロナ禍を契機に高まった投資家の物流施設に対する関心は、引き続き高いといえる。

 

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※本記事はシービーアールイー株式会社(CBRE)の「ジャパンインベストメントマーケットビュー 2022年第2四半期」より一部抜粋・再編集したものです。
※本文書は貴社の責任と判断で利用いただくものであり、弊社は、貴社又は第三者が本文書に基づいて行われた検討、判断、意思決定及びその結果について法律構成・請求原因の如何を問わず一切の責任を負わないものとします。

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