(※写真はイメージです/PIXTA)

未だコロナ禍からの回復途上の日本の景気、緩和的な金融政策も続くなか、前年同期と比べ全投資額は大幅増もJ-REIT投資額は過去3番目の低水準に至った。さまざまな最新動向のデータをもとに2022年上期の不動産投資の実相をシービーアールイー株式会社(CBRE)の本田あす香氏が紐解いていく。

投資額は大幅増、特にオフィス投資が牽引

今期(2022年第2四半期)の事業用不動産の投資額(10億円以上が対象)は対前年同期比38%増の7,190億円。前年同期の投資額が5,190億円と低水準だったことによる反動増が主因。

 

出所 : CBRE, Q2 2022
[図表1]投資額の最新動向 出所 : CBRE, 2022第2四半期
*1:投資額は10億円以上が対象、土地取引およびJ-REITのIPO時の取得物件は除く
Q2:第2四半期のこと

 

前年同期に比べて投資額が増加したのは、J-REITを除く国内投資家および海外投資家で、それぞれ186%、37%増加した。一方で、J-REITの投資額は同64%減少。今期の投資額としては2005年の調査開始以来3番目に低い水準。

 

10億円以上の取引を対象 J-REITによるIPO時の取得物件を除く  出所 :RCA, CBRE, Q2 2022
[図表2]主要不動産取引(投資主体別取引額) 出所 :RCA, CBRE, 2022第2四半期
10億円以上の取引を対象 J-REITによるIPO時の取得物件を除く

 

今期はオフィス投資がマーケットを牽引。オフィス投資額は対前年同期比192%の増加で、そのうちJ-REITを除く国内投資家による投資額は同543%と大きく伸びた。また海外投資家による取得も同105%増加。最も高額だった取引は「日本通運本社ビル」(732億円)。そのほかにも、大型ビルが東京都心のほか湾岸エリアや横浜で取引された。取引利回りはコロナ禍前と同等か、それを下回る水準だったとみられる。

J-REIT投資額は過去3番目の低水準

今期のJ-REIT投資額(IPOを除く全取引)は対前年同期比62%減の892億円。今期の投資額としては2005年の調査開始以来3番目に低い水準だった。今期の東証REIT指数は-1.8%と、4四半期連続での下落となった。J-REITによる今期の公募増資は2件、調達額は148億円に留まった(前年同期は4件、528億円)。

 

出所: Datastream、CBREが個別銘柄の株価をもとに算出、2022年6月
[図表3]: アセットタイプ別株価指数 出所: Datastream、CBREが個別銘柄の株価をもとに算出、2022年6月

 

全セクターで唯一…ホテル投資額は増加

今期のJ-REITによる投資額のうち、オフィスが43%、ホテルが16%を占めた。ホテル投資額は対前年同期比368%増と全セクターで唯一前年同期を上回った(オフィス投資額は同19%減)。

 

ホテルの取引で最も高額だったのは星野リゾート・リートが取得した「星のや沖縄」(122億円)で、当リートにとって今年初めての取引だった。コロナ禍以降のJ-REITによるホテル取引では、当リートの存在感が高まっている。2021年以降のJ-REITによるホテル取引8件のうち5件が当リートによるもので、これら総投資額の96%を占めた。

 

出所 : RCA, CBRE, 2022第2四半期
[図表4]主要不動産売買事例(取引金額順) 出所 : RCA, CBRE, 2022第2四半期

 

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※本記事はシービーアールイー株式会社(CBRE)の「ジャパンインベストメントマーケットビュー 2022年第2四半期」より一部抜粋・再編集したものです。
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