(※写真はイメージです/PIXTA)

未だコロナ禍からの回復途上の日本の景気、緩和的な金融政策も続くなか、前年同期と比べ全投資額は大幅増もJ-REIT投資額は過去3番目の低水準に至った。さまざまな最新動向のデータをもとに2022年上期の不動産投資の実相をシービーアールイー株式会社(CBRE)の本田あす香氏が紐解いていく。

オフィス投資が牽引、投資戦略はコアやバリューアッド

2022年上期の累計投資額は1.3兆円と前年同期を10%下回ったものの、オフィス投資額は同24%増加。都心だけなく、東京湾岸エリアや横浜で大型ビルが取引された。買主は、資金力のある国内投資家や海外投資家のファンドが中心。

 

これら取引にみられた投資家の戦略はコアやバリューアッド。コア戦略に基づく案件では、セール&リースバック等で安定した収益を見込める物件が取引された。バリューアッド戦略とみられる案件では、改修によって競争力を高め、空室をリースアップすることが想定されているようだ。

7割強の投資家が来年夏も低金利は続くと想定

今期のアジア太平洋地域の投資額は291億米ドル、対前年同期比28%減少した。金利上昇が先行する海外マーケットでは、資金調達コストの上昇で取引が停滞しているようだ。その影響からか、日本での不動産投資に対してもやや慎重姿勢に転じた欧米投資家が一部でみられている。

 

とはいえ、日本の金利上昇を現実的に想定している投資家は多くない。CBREが6月中旬に日本の投資家に対して実施したアンケートで、2023年夏ごろの長期金利の予想について質問したところ、回答者(アセットマネージャーやデベロッパー、レンダー等、国籍問わず)の76%が、現状と変わらない低金利が維持されると回答した。

 

日銀は金融緩和政策の継続を言明している。日本の景気は未だコロナ禍からの回復途上にあるうえ、資源高によるインフレおよび実質賃金の下落が景気後退懸念を高めているためだ。また、不動産ファンドがアジア太平洋地域内で投資する予定の資金(6月集計)は既に2019年の水準を2割上回る540億米ドルに達した。これから日本の投資を拡大しようとする海外投資家も少なくない。

 

今後、やや慎重姿勢の投資家が保有資産の売却を増やすことになれば、取引総額を押し上げることになるだろう。

 

 

本田 あす香

シービーアールイー株式会社(CBRE)

リサーチ

 

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※本記事はシービーアールイー株式会社(CBRE)の「ジャパンインベストメントマーケットビュー 2022年第2四半期」より一部抜粋・再編集したものです。
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