(※画像はイメージです/PIXTA)

本記事は、西村あさひ法律事務所が発行する『スポーツビジネス・ロー・ニューズレター(2022/9/6号)』を転載したものです。※本ニューズレターは法的助言を目的とするものではなく、個別の案件については当該案件の個別の状況に応じ、日本法または現地法弁護士の適切な助言を求めて頂く必要があります。また、本稿に記載の見解は執筆担当者の個人的見解であり、西村あさひ法律事務所または当事務所のクライアントの見解ではありません。

2. 英国におけるルートボックス規制の動向

英国においても、ルートボックス規制の法制化を巡る検討が継続的になされています。

 

英国においては、デジタル・文化・メディア・スポーツ委員会が2019年9月に発行したレポートにおいて、現実世界の通貨によって購入可能であり、事前に中身が明らかにされないルートボックスは、金銭的価値のために行われる「game of chance(賭博)」であり、同国のGambling Actによる規制が行われるべきであるという指摘がなされたこと等を契機に、2020年9月から、ルートボックスがユーザーに及ぼす影響についての調査が開始されていました。

 

この調査を受け、英国政府は、2022年7月に、調査結果のレポートを発表しました。このレポートにおいては、ルートボックスから得られるアイテムはゲーム外で合法的に現金化することができず、現実の金銭的価値を有するものではないことから、ユーザー体験が賭博と大きく異なることなどを理由に、同国のGambling Actによる規制は行わないと記載されており、英国におけるルートボックスの法律による規制は見送られる見込みです。

 

このように、欧州におけるルートボックスの法的評価やその規制要否を巡る議論は現在も進行中であり、各国の対応もそれぞれ異なっています。日本においても、スポーツDXにおける新しい収益源を模索する動きが活性化している中で、ルートボックスやこれに類似したサービスを検討する事業者が今後増加することも想定されることから、適正なルール整備等を行うに当たり、欧米の動向を十分に注視する必要があると考えられます。

 

平尾 覚
西村あさひ法律事務所 パートナー弁護士

 

稲垣 弘則
西村あさひ法律事務所 カウンセル弁護士

 

廣瀬 香
西村あさひ法律事務所 アソシエイト弁護士

 

岩谷 雄介
西村あさひ法律事務所 アソシエイト弁護士

 

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