介護離職は避けて、介護保険の活用を考える
▶50代の介護離職/親の介護という問題が発生したとき仕事はどうする?
現状
53歳のシングル。正社員として働いています。平均賃金(月額)は25万円。76歳になる母親と二人暮らしですが、大きな問題に直面しています。母親に認知症の兆候が現れ、介護が必要になったからです。
仕事と介護の両方をこなす生活は負担が重く、疲れ切っています。そうはいっても、母親の世話を代わってくれる人はいません。「介護に専念するため、仕事を辞めたほうがいいかな……」と悩んでいます。
介護離職をした場合の65歳からの年金受給額の見込みは、
●月額約11万円(年額約129万円)
対策
いまや介護は社会的な問題です。お金もかかりますが、何よりも世話をする親族に重い負担がのしかかってきます。
仕事と介護の両立は難しく、介護離職をする人が増えています。育ててくれた親の面倒を見たい気持ちはわかりますが、この選択は避けるべきです。
なぜなら、厚生年金に加入する期間が短くなるため、年金が少なくなります。
また、仕事を辞めたら、毎月の給料は入ってきません。介護をしている間、母親の年金と自分の貯蓄をベースとして生活するはずです。
平均的な介護期間は5.1年といわれていますが、認知症の場合はもっと長くなることがあります。介護はいつまで続くかわからないのです。「ようやく介護は終わったけれど、そのときには貯蓄がスッカラカンだった」では、自分の老後生活が成り立たなくなってしまいます。それに、途中で貯蓄が底をついたら、親子で共倒れになりかねません。
ここは介護離職をするのではなく、介護保険の活用を考えてください。できるだけ介護サービスを使い、行政や専門スタッフの手を借りて乗り切りましょう。
介護をしながら、再雇用で70歳まで働き、同時に70歳まで繰下げ受給をした場合、年金の月額は約18万円になります。これで老後生活も安定するでしょう。
長尾 義弘
フィナンシャルプランナー
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