子育てが終わった専業主婦が復職を考えています。夫の扶養範囲内でパートを続けていると、社会保険料がかかりません。そのかわりに妻の年金も増えません。フィナンシャルプランナーの長尾義弘氏が著書『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(河出書房新社)で解説します。

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パートで働いてもは妻の年金は増えない

▶50代専業主婦から復職/パートと正社員、どちらを選ぶ?

現状

妻50歳、夫52歳。夫は正社員として働き、平均賃金(月額)は45万円です。

 

妻は大学を卒業してから会社に勤めていたのですが、出産と子育てのために退職しました。いったんは家庭に入ったものの、子どもはこれから学費がかかる時期です。そこで、15年のブランクを経て、仕事に復帰することを決めました。

 

ただし、今度は正社員ではなく、夫の扶養範囲内のパート(月収8万円)で働くつもりでいます。そのため、厚生年金の加入期間は実質13年です。

 

一方、夫は60歳の定年後も、65歳まで再雇用で働き続ける予定です。 

 

65歳からの年金受給額の見込みは、

 

●妻──月額約8万円(年額約95万円)
●夫──月額約17万円(年額約200万円)

 

夫婦の合計は月額約25万円。家計は毎月約2万円程度の赤字になりそうです。

 

対策

パートで働く際、夫の扶養の範囲内を目安にする人は多いものです。

 

夫の扶養範囲内でパートを続けていると、社会保険料がかかりません。そのかわりに妻の年金も増えません。

 

給与が一定額を超えたときは夫の扶養からはずれ、税金や社会保険料が高くなりますから、手取りは減ってしまいます。しかし、もっと給与が上がれば、あまり関係なくなります。

 

50歳から65歳まで15年間、月給20万円で働くと、厚生年金は年間約20万円アップします。目先のマイナスにとらわれがちですが、老後まで見据えたら、こちらのほうがプラスになるわけです。

 

さらに、夫は70歳まで働き、二人とも70歳まで繰下げ受給したとします。


 
70歳からの年金受給額は、

 

●妻──月額約13.6万円(年額約163万円)
●夫──月額約24.5万円(年額約294万円)

 

夫婦の合計は約38万円まで増やせますから、かなりゆとりができるでしょう。

 

長尾義弘著『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(河出書房新社)より。
長尾義弘著『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(河出書房新社)より。

 

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本連載は長尾義弘氏の著書『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(河出書房新社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。

私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。

長尾 義

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