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米ドル高・円安はどこまで進むのか
では、仮に米ドル/円がこの間の米ドル高値を更新するなら、米ドル高・円安がさらにどこまで進むかについて考えてみたいと思います。この場合、米ドル/円はこれまで米金利に連動してきたため、「米金利がどこまで上昇するか」が1つの手掛かりになるでしょう。
この米金利のうち、米2年債利回りは米国の政策金利であるFFレートを参考にして動きます。このため、米2年債利回りがどこまで上昇するかは、FFレートがどこまで引き上げられるかが1つの目安になります[図表4参照]。
さて、このFFレートについて、現在のFOMCメンバーのなかでタカ派筆頭格とされるミネアポリス連銀カシュカリ総裁は10日の講演で、「(FFレート上限目標は)22年末3.9%、23年末4.4%を見込む」と述べました。
「最強のタカ派」でも年末のFFレート見通しを4%未満としていることからすると、米2年債利回りが年内に4%を超える可能性は現時点では低いと考えるのが基本ではないでしょうか。
米2年債利回りと米ドル/円のこれまでの関係を前提にすると、米ドル/円は140円を超えても、少なくとも年内145円には届かないという見通しになります[図表5参照]。
それでも、FOMC「最強のタカ派」は、2023年も利上げは続き、2023年末には4.4%までのFFレート上昇を予想していました。
その通りであれば、米2年債利回りも2023年にかけて4%を大きく上回っていくことから、米ドル/円がそれに連れた場合は145円を超え、150円を目指すという展開になります。
ただ、筆者はこの見方には懐疑的です。さらにいえば、実は2022年末にFFレートが4%に迫るまで上昇するといった「最強のタカ派」予想も、すでにインフレがピークを過ぎたとするなら半信半疑というのが正直な気持ちです。あくまで、米ドル高の目途を米金利から考えるうえで、最も極端なFFレート引き上げ予想として引用したまでです。
以上からすると、筆者自身は、米ドル/円はこの間の米ドル高値を更新する可能性はあるものの、基本的には140~145円のあいだで終わりを確認するというイメージで予想しています。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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