(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の米ドル/円は、週初の132円台を底にほぼ一本調子で円安が進み、137円台をつけました。こうしたなか、場合によっては今週中にも「1ドル140円台」の大台をつける可能性があると、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏はいいます。円安はいったいどこまで進むのか……さまざまなデータを紐解きながら、みていきましょう。

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    <ポイント>
    ・先週の米ドル/円は一時137円台まで米ドル一段高となった。今週も注目イベントであるジャクソンホール会議のFRB議長「タカ派発言」への警戒から米ドル買いを試す展開が続きそう。
    ・この間の米ドル高値更新の可能性も注目。予想レンジは135.5~140円中心。

    「夏枯れ」知らずの米ドル高再燃

    先週の米ドル/円は、週初こそ132円台を付ける場面もありましたが、その後はほぼ一本調子で米ドル高・円安の展開となり、一時は137円台を付けるまで米ドル一段高となりました[図表1参照]。

     

    出所:マネックストレーダーFX
    [図表1]米ドル/円の日足チャート(2022年6月~) 出所:マネックストレーダーFX

     

    それにしても、先週の米ドル/円の週間値幅も4円以上となり、相変わらずの高いボラティリティでよく動く相場が続きました。

     

    例年この時期は日本のお盆休み前後にあたるため市場参加者も少なくなり、相場も小動きになりやすいことから「夏枯れ相場」と呼ばれますが、今年の場合はかくして「夏枯れ」知らずの展開となっています。

     

    ところで、米ドル/円は、8月に入って早々に130円割れ寸前まで急落しましたが、上述のように137円まで戻ってきたことで、米ドル安・円高への警戒感も大きく後退したようです。むしろ、7月に記録したこの間の米ドル高値である139.4円近辺を更新する可能性も視野に入ってきました。

     

    先週米ドル高・円安へ大きく戻す展開となった要因は、前回も指摘したように米金利からみて米ドルが「下がり過ぎ」となっていた分の修正が入ったという考え方が基本でしょう[図表2参照]。

     

    そしてそのきっかけとなったのは、先週水曜日の7月FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録公表などを受けて、米金融当局のタカ派姿勢への警戒感が再燃したことにあります。

     

    出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
    [図表2]米ドル/円と米2年債利回りその1(2022年3月~) 出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

     

    7月末のFOMC以降、米金融当局のインフレに対する姿勢とそれを受けた利上げ見通しについて、FOMCメンバーとマーケット参加者のあいだでかい離が目立っていました。

     

    これは、インフレがピークを過ぎた可能性を鑑みた影響が大きいと考えられますが、マーケット参加者は、金融当局より利上げ見通しを甘めにみる傾向が強まっていました。

     

    それが、FOMC議事録公表などをきっかけに修正に向かったことが米ドル買いをもたらしたということでしょう。ちなみに先週の米ドル高は対円に限ったものではなく、対ユーロなどでも同様でした。結果として、ユーロ/米ドルは再び1ユーロ=1米ドルといったパリティ(等価)割れの可能性が出てきました。

     

    出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
    [図表3]ユーロ/米ドルと独米2年債利回り差(2022年5月~) 出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

     

    今週は、25~27日にジャクソンホール会議が開かれ、そのなかで26日にパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言が予定されています。このシンポジウムではこれまで何度か金融政策に関する重要発言が飛び出しており、注目のイベントです。このためパウエル議長のジャクソンホール「タカ派発言」を警戒した米ドル買いを試す展開が予想されます。

     

    そうなると、この間の高いボラティリティを考えた場合、米ドル高値を更新し140円の大台をトライする可能性も十分あるでしょう。米ドル/円の週間値幅が先週のように4円以上となるなら、今週の予想レンジは135.5~140円中心となるのではないでしょうか。

     

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