不動産投資を行ううえで、最も重要なポイントは物件選びです。しかし、資産にゆとりがあり選択肢が多いはずの富裕層ほど、物件選びの段階で失敗しやすい傾向があると、株式会社有栖川アセットコンサルティングの鈴木子音代表取締役はいいます。今回、自身のこだわりを存分に発揮した「お洒落マンション」を建築したAさんの、残念な末路を事例をみていきましょう。

不動産投資で最も重要な物件選び

不動産投資の基本は、資産価値が高い物件を購入することです。資産価値が高い物件とは、立地が良く、間取りが標準的で築浅の適正な価格の物件です。

 

こう説明すると 「つまらない」 と思う人もいるかもしれません。

 

腕のいい不動産会社ならユニークな掘り出し物の物件を紹介することができ、高い利回りを得られると期待する人もいます。これは資本主義社会において当然の原則であり、もし真に掘り出し物の物件があれば、市場に出た時点でプロが買っていき、適正な価格で再販売されてしまいます。

 

もちろんそういった物件の情報も多くもっていますが、注意しなければならないのは、相場より利回りが高い物件には必ず理由があるということです。

 

それでもわずかな市場の歪みを狙う、あえてリスクを取るという戦略も存在しますが、それはこれから資産を築きたい人のための戦略です。富裕層が所有するのであれば、入居者集めや物件を売却する際の流動性を考え、設備や間取りにクセのない標準的な物件を選択するべきです。

 

 設備や間取りが特殊な物件は避ける

自宅を購入した経験がある人であれば納得するところかと思いますが、不動産の購入は非常に夢のあるイベントです。

 

自身のこだわりが空間として形になるため、自宅を新築・購入する際にはキッチンや洗面所の高さや壁紙の色、設備の細かい仕様までこだわって選定する人は多くいます。

 

これは賃貸物件でも同様です。自身のこだわりを反映して居住者へのサービスとなる仕様を施すことで、実際に居住者たちの喜んだ顔を見ることも可能です。

 

それゆえに、資産にゆとりのある富裕層は、こだわりの物件を建築・購入してしまい、失敗することが多いのです。

 

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次ページ【事例】美しい自慢のマンションを建築したAさん

※本連載は、鈴木子音氏の著書『不動産投資で組み立てる 富裕層のための資産防衛戦略』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

不動産投資で組み立てる 富裕層のための資産防衛戦略

不動産投資で組み立てる 富裕層のための資産防衛戦略

鈴木 子音

幻冬舎メディアコンサルティング

いまや富裕層にとって、資産は「築く」よりも「守る」ことが難しい時代になっています。 2022年度の税制改正大綱では財産債務調書の提出義務者の拡大や相続税と贈与税の一体化への検討が打ち出され、徹底的な財産の把握と徴…

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