不動産投資は高い流動性が最優先
このように、良かれと思って施した設備が売却の際のお荷物になってしまうことは少なくありません。魅力を深く理解する買い手が見つかればよいのですが、そううまくはいかないものです。
不動産投資はあくまで 「投資」 であり、基本的に買い手は利回りを基準に投資の成否を判断します。
物件の流動性を高く保つことが最優先であるのを理解すべきです。
間取りについても同様で、賃貸マンション・アパートの人気の間取りは時代により移り変わります。
部屋数が少なくても広いリビングをもつLDKが人気になったかと思えば新型コロナウイルスの影響でなるべく部屋数を多くした間取りのほうが人気となったり、以前は人気があったロフト付き物件が敬遠されるようになったりと、入居者の好みは時代とともに移り変わります。リフォームのしやすさなども考慮すれば、あまり変則的な物件はもたないほうがよいのです。
同様のことは自身で居住する一戸建やマンションを建築・購入する際にもいえます。
富裕層の多くは自身に合った住居を求めて、注文住宅を建築したりマンションを大規模リフォームしたりすることが多い傾向にあります。自身の趣味を反映させた書斎やオーディオルーム、サンルーム、ペット用の設備などが備わった家はまさに 「夢」 が反映された快適な住居といえます。
一方、建築・購入した住居であっても死ぬまで住み続けられるとは限りません。
たとえ死ぬまで住み続けられたとしても、相続後にその家は配偶者や子孫、もしくは他人の手に渡ることになります。
売却する場合に、趣味の設備や特殊な間取りがある物件は買い手が付きにくい傾向にあります。売却を急ぐ場合に買い手を見つける方法は、価格を下げるしかありません。自身のこだわりのためにかけた費用は売却価格に反映されるどころか、むしろ不利に働くことが多いのです。
鈴木 子音
株式会社有栖川アセットコンサルティング
代表取締役
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