投資用不動産の新築は避ける
これから不動産投資を始めようとする人のなかには、土地を購入して新築の物件を建築したいと考えるケースが少なくありません。新築であれば、中古物件のように隠れた瑕疵(かし)があることもなく自分で詳細をすべて把握できるから安心と考える人もいます。
また、大規模な修繕が発生するまでの期間が長いことから、投資の回収がしやすいと考える人もいるようです。
しかし、自宅であればともかく、投資用不動産の新築は初心者が行うべきではありません。
自宅の近くにマンションを建築しようとしたDさん
Dさんは自宅兼工場を所有する、いわゆる町工場の三代目の経営者です。景気の変動によって経営が苦しいときもありますが、自社の製造する部品の需要が近年は高まっており、現在の経営は安定しています。
ある日、Dさんは自宅兼工場の至近距離にある町工場が廃業することを知りました。この工場が空き地になれば、良いマンションを建築できそうです。
本業で順調な利益を得ているため、会社で賃貸不動産を保有すれば税金のコントロールにも役立ちそうですし、賃貸収入は会社の経営が傾いた際の心強い下支えになるでしょう。
それに自宅兼工場から至近距離の立地であるため、従業員の社宅としても利用できる可能性がありそうですし、管理は配偶者や親族に任せればよいだろうと考えました。
Dさんはさっそく、町工場のオーナーに話をもちかけて、公開情報になる前にその土地を入手しました。
その後、マンションを建てるために住宅メーカーや地場の工務店などから建築費用の見積もりを複数入手しましたが、価格に差があり過ぎていったいどれを選べばよいのか分かりません。結局、自身が住む住居ではないからと、収益性を重視して最も安い見積もりを出した工務店に発注することにしました。
次々に発生するトラブル
結果として、マンションは見積もりの金額では建築できませんでした。設計途中からさまざまな追加提案があり、建築が始まってからも費用はどんどん膨れ上がりました。
また予定していた工期が4カ月も長引いてしまい、当初のスケジュールで入居者を募集してしまっていたDさんは、調整対応に追われることになりました。
加えて、建築されたマンションは戸数が多く取れて確かに投資効率は良さそうでしたが、面積効率を重視するあまり、住居としては歪いびつで人気のない間取りになってしまいました。各部屋とも平米数はあるのですが、部屋が不自然に細長くなっていたり、トイレの配置が生活動線に合っていなかったりと、いざ現地を案内するとガッカリされる部屋が大半です。
工期が延びたせいで繁忙期を逃したこともあり、新築から半年経っても半分近くの部屋が空室であるため、仲介会社に割り増しで広告宣伝費(AD)を支払いましたが、それでも満室にはなりません。
結局、当初の値付けから1割ほど家賃を下げて募集したところ、ようやく入居者が付いている状態にはなりました。
その状況に追い打ちをかけるように、Dさんがこの賃貸住宅の経営で行き詰まったのは建築してから5年後です。建築した工務店が倒産してしまい、メンテナンスや修繕を他社に依頼しなければならなくなりました。
不動産の初心者だったDさんは必要な資料をきちんと保管しておらず、入居者の入替のたびに必要となる原状回復工事にも非常に苦労することになり、しばらくは出費がかさむことになりました。
さらに、新しく修繕を依頼するようになった工務店からは各部屋とも結露を起こしカビが発生しがちな仕様であり、建物が劣化しやすいことを伝えられました。
工務店からは「その土地の特性をよく知る工務店に最初から依頼して仕様を決めるべきだった」と言われましたが、もはやDさんにはその工務店の言葉を信じるべきか否かも判断がつきません。
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