「都心の再開発」は不動産投資に影響大
東京23区内における不動産投資の楽しみの一つが大規模再開発です。東京では2000年代以降、老朽化したオフィスビルを取り壊して再開発を行う流れが加速しています。たとえば、以下のような大規模再開発計画が進んでいます。
▼虎ノ門・麻布台プロジェクト
大使館等が多く立地する古くからの高級オフィス街・高級住宅街だった神谷町駅・六本木一丁目駅の中間地点の台地を約8・1ヘクタールにわたって開発するプロジェクトです。
敷地内には3棟の高層ビルと4棟の低層ビルが建設され、その周囲には6000平方メートルに及ぶ広大な緑地と広場が整備される予定です。敷地内にはオフィス、住宅、ホテル、インターナショナルスクール、商業施設、文化施設などの整備が予定されており、最も高層となるビルは325・24メートルと現在高さ日本一を誇る「あべのハルカス」を抜いて日本一の高さとなることが発表されています。
また、この再開発に伴って東京メトロ日比谷線の神谷町駅と南北線の六本木一丁目駅が地下通路でつながります。これまでこの2駅を移動するには坂を上って10分以上歩く必要があったため乗換駅として機能していませんでしたが、地下で直結することにより移動利便性は格段に上がると考えられます。
▼中野駅前再開発計画
中野駅北口では、取り壊し予定の中野サンプラザの跡地にNAKANOサンプラザとシンボルタワーを整備し、敷地全体を「NAKANOサンプラザシティ」として一つの街区にする計画が進行しています。
NAKANOサンプラザには最大7000人が収容できる劇場とホテルが整備され、シンボルタワーにはオフィスや商業施設、居住用レジデンスの機能が備わります。
南口はオフィス棟と住宅棟の高層ツインタワーが建設される予定です。西側では大学などの教育機関や医療機関、オフィスなどが集まる「中野四季の都市」を北側に有したエリアの再開発が予定されています。
駅前が大規模に生まれ変わるこの中野駅の再開発は100年に一度の再開発とも呼ばれており、完成した暁にはオフィスや居住用物件の賃料相場も大きく変わることが予想されています。
このような大規模再開発計画がもち上がると、街の価値が向上し、賃貸相場も大きく上昇することが見込まれます。再開発地域の物件を計画前に狙って入手することは難しいですが、収益性の高い都心は手付かずのエリアであればどこも再開発の可能性を秘めています。
気の長い話にはなりますが、もし将来的に再開発が実現した場合には、宝くじが当たったような恩恵を受けることができます。
一方で、オフィス需要の観点でいえば再開発がマイナス要因になってしまう場合もあります。
渋谷を例に取れば、再開発による大規模オフィスビルの大量供給により大手IT企業が集積して周囲の賃料相場を大きく引き上げましたが、大規模オフィスビルが大量に供給されることで、近隣に残された小規模な築古ビルの賃料相場も上がってしまい、資金余力のないベンチャー企業が五反田など賃料が安いエリアに相次いで移転したことで、一時的に空室率が高まってしまう現象が起こりました。
もちろん、近隣に大規模オフィスビルが建設されることで必ず空室率が上昇するというわけではありません。再開発による大規模ビルの建設について警戒すべきは、エリア全体のオフィス供給と需要のバランスについてです。
同エリア内で再開発が進み大量のオフィスが供給されれば、現在は堅調なオフィス需要であってもバランスが崩れる可能性があるかもしれません。こういった市場動向には注意しておく必要があるといえます。
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