富裕層を悩ませる高い税金問題。しかし、目の前の税金対策を追い過ぎた結果、先を見通さずに不動産投資を行うと失敗しやすい傾向があります。では、なぜ失敗しやすいのか? 木造ボロ物件で税金対策をしたBさんを事例に解説します。

税金対策目的であわてて購入しない

税金対策として販売されている物件は、往々にして本来の資産価値や収益面が見過ごされがちであり、トラブルを呼び込みやすい側面もあります。節税の利益を享受したあとでの物件の扱いに困ることがないよう、よく考えて購入を検討する必要があります。

木造ボロ物件で大幅節税をしようとしたBさん

Bさんは年収が3500万円ある高収入のサラリーマンです。Bさんの悩みは高い所得税率で、何か税金対策はできないだろうかと常々考えていました。

 

ある日、知人から「償却期間が短い木造で築古の物件を購入すれば高額の減価償却が可能だ」という話を聞きました。計算してみると、確かに効果的に所得を減らすことができるため、Bさんはインターネットで見つけた借地の木造一軒家(築30年)のシェアハウスを1500万円で現金一括購入することにしました。

 

この結果、Bさんは大きな節税を実現することができました。

 

木造住宅の法定耐用年数は22年であるため、築30年の物件は4年で減価償却を行うことができます。このため、毎年250万円の償却が可能となり、所得税が40パーセント課されているBさんは、毎年100万円、4年間で計400万円を節税することができました。

 

この結果にBさんはたいへん満足しました。

 

しかし、肝心の賃貸経営についてはうまくいきません。シェアハウスは金銭的に裕福でない人物が入居するケースも多く、家賃の滞納が頻発する懸念があります。

 

また、あまりに小規模な投資であるため、コストが見合う管理会社が見つからないこともBさんを悩ませました。シェアハウスにありがちな入居者からの苦情や家賃の督促業務、修繕要求などの連絡が多忙なBさんの元に日々入るようになったのです。

 

減価償却できるのは建物部分のみだからと借地権の物件を購入したため、トラブルも発生しました。

 

身元が不確かな人を集めて儲けを出していると思い込んだ地主から、入居者の使用状況を理由とした賠償と地代の増額を求められたのです。この件は裁判にまで発展してしまい、Bさんはその手続きですっかり疲弊してしまいました。

 

Bさんはこの物件を早く売ってしまいたいと考えましたが、買い手はなかなか見つかりません。物件は築古であるため銀行にとって担保とはみなされず融資もつきません。現金で一括購入できる人しか買い手の候補にならないため、購入を検討する人の母数が非常に少ない物件であることに、Bさんは売却しようとして初めて気がつきました。

 

さらに地主との裁判付きの物件であるため、まれに興味を示す人が現れたとしても、事故物件扱いで避けられる有様です。

 

年収3500万円のBさんは非常に多忙にもかかわらず、節税のために所有した不動産の管理に多くの時間を費やすことになってしまいました。売却できる見込みがないため、損をしないためには入居者探しの業務も怠るわけにはいきません。

 

Bさんは、普通の物件を購入すればよかったと後悔しているそうです。

 

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※本連載は、鈴木子音氏の著書『不動産投資で組み立てる 富裕層のための資産防衛戦略』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

不動産投資で組み立てる 富裕層のための資産防衛戦略

不動産投資で組み立てる 富裕層のための資産防衛戦略

鈴木 子音

幻冬舎メディアコンサルティング

いまや富裕層にとって、資産は「築く」よりも「守る」ことが難しい時代になっています。 2022年度の税制改正大綱では財産債務調書の提出義務者の拡大や相続税と贈与税の一体化への検討が打ち出され、徹底的な財産の把握と徴…

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