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対ユーロ・豪ドルでは「米ドル安シグナル」が出現
私はこれまで、米ドル/円は米金利から見て「下がり過ぎ」のため、その反動から米ドル高に向かう可能性が高いと思うと述べてきました。ただし米ドル/円以外、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルといった米ドルストレートにおいては、それとは逆の米ドル安リスクの兆しが先週出現しました。
ユーロ/米ドルは7月後半から3週間程度、1.01~1.025米ドルのレンジを中心とした方向感のない展開が続いてきました。これを「米ドル/円」風に言うと、101~102.5円といった1.5円程度の値幅での小動きが続いたといった具合になります。
ちなみにほぼ同じ期間の米ドル/円は130~139円のレンジ中心に大荒れの展開が続いたわけで、それと比べるといかにユーロ/米ドルは小動きだったかがよく分かるのではないでしょうか。
ところで、そんなユーロ/米ドルでしたが、先週にかけて小動きのレンジをユーロ高・米ドル安方向へ上抜けたようになりました(図表3参照)。そしてそれは豪ドル/米ドルでも同様で、豪ドル高・米ドル安方向へ、この間のレンジを上抜けたようになったのです(図表4参照)。
相場には、基本的に小動きが長く続けば続くほどエネルギーが溜まり、小動きの終了とともに溜まったエネルギーの発散により一方向に大きく動くといった傾向があります。
その意味では、これまで見てきたユーロ/米ドル、豪ドル/米ドルの先週にかけての動きは、新たな米ドル安のシグナルとも見てとれなくありません。
ちなみに豪ドル/米ドルは、先週の豪ドル高・米ドル安により、足元で0.718米ドル程度の52週MA(移動平均線)に急接近となりました(図表5参照)。経験的には、一時的な豪ドル高・米ドル安なら52週MA前後までがせいぜい。そうではなくて、52週MAを大きくブレークするようなら、すでに豪ドル安・米ドル高は終わり、新たな豪ドル高・米ドル安トレンドが展開している可能性が高まります。
以上のように見ると、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルにおいて先週にかけて見られた新たな米ドル安のシグナルが、単なる一時的な「ダマシ」に過ぎないのか否かは、豪ドル/米ドルの52週MAを巡る攻防などを手掛かりに注目したいと思います。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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