(写真はイメージです/PIXTA)

不動産取引をオンライン上で行う「ネット不動産」が解禁されました。これにより、内見のために移動する時間やコストが削減できるなどの面で一般消費者の利便性が向上する一方で、なりすましなどのリスクも新たに発生しています。ネット不動産の普及は私たちの生活にどのような影響をあたえるのか、企業法務に詳しいAuthense法律事務所の西尾公伸弁護士が詳しく解説します。

ネット不動産導入によって起こりうる影響と対策

ネット不動産の解禁は、各業界にどのように影響するのでしょうか? 今後起こり得る影響と対策を解説します。

 

不動産仲介業者

ネット不動産の全面解禁により、若年層を中心に今後ますますインターネットでの物件探しが活性化していくことでしょう。そのため、ネット不動産に対応できなければ、オンラインで手続きを完結させたい層を取りこぼしてしまうリスクが高まります。

 

この流れは今後も加速していくと考えられますので、不動産仲介業者はネット不動産に対応できるシステムの導入などを行うか、ネット不動産には参入せず地域密着でその仲介業者のみが取り扱う不動産を強みとするのか、方向性の検討が急務になるといえそうです。

 

ハウスメーカー

家は、人生最大の買い物です。そのため、住宅をインターネット上のみで購入する人は、まだまだ少数派であるといえるでしょう。しかし、依頼先のハウスメーカーを探す際、まずはインターネットで探すという人は少なくありません。

 

また、要所ごとに顔を合わせるにしても、契約に至るまでの営業や契約後の軽微な打ち合わせなどは、オンラインで行いたいというニーズも高いといえます。そのため、少なくとも顧客が希望した際にオンラインで打ち合わせができる仕組みは整えておくべきでしょう。

 

また、オンライン上で見ることのできるカタログを充実させたり、住宅展示場をオンラインで案内できる仕組みなどを取り入れたりすることで、顧客との接点を増やしやすくなります。

 

昨今注目を浴びているメタバースなどを利用して、オンライン上で、モデルハウスを3Dで内見できたり、顧客が自身で間取りを決めたり、家具を配置したりできるような機能も、今後の顧客のニーズに合致するかもしれません。

 

不動産管理会社

後ほど紹介するWealthParkビジネスなど、不動産管理会社と不動産オーナーとをつなぐテックサービスが登場しつつあります。

 

これらのサービスは、不動産オーナーにとっても日々の負担を軽減できるなどのメリットがあります。そのため、若年層のオーナーを中心に、このようなサービスの使用を希望することが増えてくることでしょう。

 

そのような際、管理会社側がシステムに対応していなければ、管理会社を変更されてしまうことがあるかもしれません。管理会社には不動産テックは関係ないと考えるのではなく、どのようなシステムがあるのか調べ、便利なものは積極的に取り入れることも検討すべきでしょう。

 

ゼネコン

ゼネコンには、ネット不動産解禁による直接の影響はさほどないでしょう。しかし、昨今ではゼネコンがデベロッパー化し、オフィスビルなどの開発や販売を手掛けるケースが増えています。

 

住宅と同じく、オフィスビルの仲介でもオンライン化が拡がっています。オンラインで内見や契約などができる仕組みを整えることで、より広く顧客候補へアピールできる機会となるでしょう。

 

また、ネット不動産とは直接関係はありませんが、建設業法も改正され、請負契約について電子契約で締結することが可能となるなど、売買や、賃貸借のみならず、不動産に関する契約もIT化が加速していくものと思われます。

 

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本記事はAuthense企業法務のブログ・コラムを転載したものです。

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