アリババのジャック・マーと習近平の対立が話題になりました。マーのように、ある意味で習近平より影響力があったりすると、中国共産党としては放置できなくなります。しかし、マーという人物は非常に賢い人間だから、じつは演技ではないかという説もあります。日本経済の分岐点に幾度も立ち会った経済記者が著書『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)で解説します。

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「ジャック・マーVS習近平」対立は演技か

■アリババと中国共産党

 

中国では新興企業が続々と生まれています。中国共産党の支配下にある企業、例えば、中国石油化工集団や国家電網などは国営企業ですが、ここのところの新興企業は民営企業と言われています。最たる例がアリババ集団です。アリババは目覚ましい成功を収めていますが、その背景にはチャイナ・マーケットという巨大な内需があります。

 

アリババ創業者のジャック・マーは、太子党のグループ( 江沢民の孫・江志成や劉雲山の息子・劉楽飛など)と親しくしていました。彼らはたくさん資産を持っていて、目利きもいますから、そういう連中に取り入って「お前の事業はいけそうだ」と出資元になってもらいました。コネ社会で「なるほど、これはいけそうだ」と評判が立つと、どんどんお金をつぎ込んでくれ、どんどん膨らんでいく。

 

ところがマーのように、ある意味で習近平より影響力があったり、有名になってしまったりすると、中国共産党としては放置できなくなり、押さえつけることになります。

 

それにも拘わらず、マーも調子に乗って、2020年10月、銀行関係者の集まりで堂々と「中国の銀行は古い質屋みたいなもんだ」と言ってしまいました。それが共産党の逆鱗に触れ(図星なのでしょうが)いま、マーは軟禁状態で潰されようとしています。

 

アリババに関して習近平がやろうとしているのは、マーから実権と株をすべて取り上げることです。2021年4月「独占禁止法違反だ」と言って、アリババに日本円で約3000億円の罰金を科しました。

 

それから、取引材料としては中国でよくある話ですが、そのような脅しをかけて、譲歩を引き出すわけです。恐らくマーには「もうアリババから一切手を引け」と言っているかもしれません。株を習近平の息のかかった企業に全部売れというような話でしょう。

 

もうひとつ言うと、アリババはネットビジネスだから顧客の個人情報をたくさん持っています。データバンクに全情報が入っているわけです。だから、そのデータを全部よこせと言っている可能性があります。それで居ながらにして中国国民をAIですべて監視できるというわけです。

 

中国のような監視国家になると、いつ誰かが反旗を翻すかわからないという恐怖があるのです。

 

ジャック・マーは反逆していて、実際に中国共産党からプレッシャーを受けているでしょう。しかし半面、マーという人物は非常に賢い人間だから、じつは演技ではないかという説もあるのです。

 

どういうことかというと、アリババはネットビジネス、例えばアマゾンと似たようなビジネス形態ですから、グローバルに展開したいわけです。アメリカでも日本でも、ヨーロッパでもビジネスを拡大したい、どんどん資金調達をしたい。したがって習近平と対立しているということになると、アメリカの警戒が緩くなる可能性があります。

 

アリババはニューヨークで株式上場していますが、アリババから習近平と公安グループに全部筒抜けで情報が流れる。あるいはアリババがアメリカで調達したドルは、中国の軍のほうに回るかもしれないというので、アメリカはかなり警戒しています。そういうなかで、マーがわざわざ習近平を怒らせるようなことを言って対立すると、アメリカ側のそのような警戒が緩む可能性があるというわけです。

 

田村 秀男
産経新聞特別記者、編集委員兼論説委員

 

 

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本連載は田村秀男氏の著書『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)の一部を抜粋し、再編集したものです。

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