米ソ冷戦が終結?アメリカの高金利政策がソ連を崩壊させた理由

アメリカがレーガン政権時、「強いドル」実現のために高金利政策をとったため、エネルギー価格は下がります。ソ連は国家財政の収入の半分近くを原油と天然ガスが占めているので大きな影響を受けることになります。日本経済の分岐点に幾度も立ち会った経済記者が著書『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)で解説します。

日本でベンチャー投資が進まない理由

■アメリカの構造から得られる“ヒント”

 

いまの日本でベンチャーを起こしても、国内マーケットが伸びないのであれば、投資家は見向きもしないでしょう。加えて既存のメーカーが大きなシェアを持っていますから、これを崩すのも容易ではありません。よほどの素晴らしい発明をしないと難しいでしょう。

 

例えばどこかの大学のベンチャーが画期的な発明をして、成功しそうだという話は出てくる。こういう例は大学のブランドである程度の信用を得て、技術開発にお金が入ります。こういうパターンがあることはありますが、次々と出ているわけではありません。

 

先に話したアメリカの、ベンチャーに対する投資ファンドが出資する体制は理に適っていると思います。日本のような銀行中心の金融制度ですと、「担保はどのぐらいありますか」など審査がややこしいのと、土地の値段が上がらないと貸し出しも難しいということになりますから。

 

それに対してアメリカの場合、ベンチャー投資の専門家が見定めて、「これはいける」と即時判断ができる環境があります。こういうカタチでお金が金融経済から実体経済へと活発に循環している。先ほどから何度も言ってますが、アメリカはそういう部分ではすごく健全な構造を持っています。投資家がリスクを取ってお金が回って、需要を生んで好循環になる。投資先が成功すれば、当然リスクを取った投資家は儲ける。

 

日本も資本主義である以上、同じ構造であるはずです。しかし経済というものは、とくに国内の需要が萎縮している、つまり経済のパイが大きくなる可能性が望めない場合は、誰もリスクを取ろうとしません。

 

だから、雇用を増やそうともしませんし、イノベーションの推進(それに向けての人材確保、機械設備やシステムの導入)についても、気後れしてしまいます。そのため、新しく育ってきた人材が新しいことにチャレンジする機会が小さくなってしまいます。

 

こうなってしまうと民間ではどうしようもない。結局、政府が戦略的に出動していくしか方法はないのです。

 

■会社は“商品”だけれども例外がある

 

アメリカの投資ファンドの儲け方はこんな感じです。

 

まず上場企業の株をTOBで買い取って非上場にします。そのうえで「物言う株主」など経営に口出しする人たちを排除して、その会社を部門別に切り売りするわけです。買い上げた株の支出はありますが、その何倍かで売れれば倍返しで儲かります。これが投資ファンドの手口です。

 

先日の東芝ガバナンス問題では、これをやろうとしたのでしょう。「東芝ほどの名門企業でそこまでやるか、冗談じゃない。日本を代表する会社だ」と騒ぎになった。しかも東芝には原子力事業があります。日本の原子力発電は福島第一原子力発電所の事故で大変困難な状況になっていて、東芝はウエスティングハウスを買収して大失敗をしたとはいえ、やはり日本を代表する原子力技術を持っています。

 

航空宇宙技術も持っていますし、防衛産業にも関連があります。このような日本の国家安全保障の根幹に関わる企業を切り売りするとは何事だという話が出ています。『日経新聞』などは、盛んにアメリカの投資ファンドの手口を褒め称えますが、「何を考えてるんだ、会社は商品じゃないぞ」と。

 

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    産経新聞特別記者、編集委員兼論説委員

    1946年高知県生まれ。70年早稲田大学政治経済学部経済学科卒後、日本経済新聞入社。ワシントン特派員、経済部次長・編集委員、米アジア財団(サンフランシスコ)上級フェロー、香港支局長、東京本社編集委員、日本経済研究センター欧米研究会座長(兼任)を経て、2006年に産経新聞社に移籍、現在に至る。主な著書に『日経新聞の真実』(光文社新書)、『人民元・ドル・円』(岩波新書)、『経済で読む「日・米・中」関係』(扶桑社新書)、『検証 米中貿易戦争』(マガジンランド)、『日本再興』(ワニブックス)がある。近著に『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)がある。

    著者紹介

    連載日本人の給料が25年間上がらない残念な理由

    本連載は田村秀男氏の著書『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)の一部を抜粋し、再編集したものです。

    「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由

    「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由

    田村 秀男

    ワニブックスPLUS新書

    給料が増えないのも、「安いニッポン」に成り下がったのも、すべて経済成長を軽視したことが原因です。 物価が上がらない、そして給料も上がらないことにすっかり慣れきってしまった日本人。ところが、世界中の指導者が第一の…

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