(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の米ドル/円は、一時大台の「140円」に迫る米ドル高・円安となりました。現在も130円台後半で推移している米ドル/円。もう一段の円安で140円を突破する可能性はあるのでしょうか。マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が予想します。

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    22年ぶりの「パリティ」割れ=ユーロ/米ドル

    ところで、このあいだの米ドル高は、1ユーロ=1米ドルといったパリティ(等価)突破といった象徴的出来事の影響から、ユーロ安・米ドル高がリード役を担った面もあったでしょう。先週は、2000年以来22年ぶりで、ついにそんな「パリティ」割れも実現しました。

     

    ところで、このようなユーロ安・米ドル高は、少なくとも今月に入ってからは金利差ユーロ劣位拡大にある程度連動した結果でした(図表4参照)。では、金利差ユーロ劣位拡大を受けたユーロ安・米ドル高はさらに広がることになるのか。

     

    出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
    [図表4]ユーロ/米ドルと独米10年債利回り差(2022年5月~) 出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

     

    金利差ユーロ劣位拡大は、ウクライナ情勢などを受けた独金利低下が主因との解説が多いようです。ただし、最近にかけては米金利も低下傾向が続きました(図表5参照)。そこで、両者を重ねて見ると、金利低下の開始のタイミングは米国が早かったものの、その後の動きはかなり高い相関関係となっていました(図表6参照)。

     

    出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
    [図表5]独米の10年債利回りの推移その1(2021年1月~) 出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

     

    出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
    [図表6]独米の10年債利回りの推移その2(2021年1月~) 出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

     

    以上からすると、最近にかけての独金利の低下は、もちろんウクライナ情勢の影響もあるでしょうが、それ以上に「世界一の経済大国」である米国の景気減速懸念により、景気への先行き懸念が世界的に波及した影響が大きかったのではないでしょうか。

     

    仮にそうだとすると、金利低下の理由は、基本的に米独で共通したものであり、その意味では金利差が一方的に拡大することにはならないと考えられます。金利差が一方的に拡大しないようなら、「パリティ」割れを達成したことから、ユーロ安・米ドル高も一息付く可能性はあるのではないでしょうか。

     

    その上で、このところの米ドル高のリード役を担った観のあったユーロ安・米ドル高の一服は、全体の米ドル高が一息付くかを考える上でも目安になるでしょう。

     

    以上見てきたことを踏まえ、今週の米ドル/円は、136~140円のレンジ中心での展開を予想しています。

     

     

    吉田恒

    マネックス証券

    チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

     

    ※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

     

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