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「7/19~7/25のFX投資戦略」のポイント
<ポイント>
・米6月CPI発表をきっかけに、7月FOMC「1%利上げ」説が浮上、米ドルは一気に140円の大台に迫る一段高となった。たださすがに「1%利上げ」説には無理がありそうで、それをきっかけとした米ドル高・円安も「行き過ぎ」懸念強そう。
・140円前後で、比較的早い段階で行き過ぎた米ドル高・円安の調整へ転換する可能性を注目。今週の米ドル/円は136~140円中心の展開を予想。
「1%利上げ」説で140円に迫る
先週の米ドル/円は一気に140円の大台に迫る一段高となりました(図表1参照)。主なきっかけは、水曜日の米6月CPI(消費者物価指数)発表。これが予想以上の伸びとなったことを受け、一時7月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ幅が一気に1%に拡大するとの見方が広がり、米ドル買いを加速させるところとなりました。
ただ、この「1%利上げ説」は、その後は徐々に後退しました。
実際、金融政策を反映する米2年債利回りも小幅の上昇にとどまり、6月に記録した3.4%程度のこの間の高値を上回る動きとはなっていません。その意味では、「1%利上げの可能性」をきっかけに、一気に140円の大台が射程に入ったことで勢い付いた米ドル高でしたが、米金利との関係で見ても「行き過ぎ」の懸念がありました(図表2参照)。
そもそも7月FOMCで1%の利上げが行われる可能性は低いのではないでしょうか。
CPIは、基本的に景気に対して「遅行指標」と位置付けられます。いくらインフレ対策を最優先で取り組むといっても、そんな「遅行指標」を根拠に利上げ強化に動いた場合、いわゆる「オーバーキル」、必要以上の景気減速や株安をもたらす懸念があるでしょう。
実際に、景気の減速懸念もじわり広がっている可能性があります。定評のあるGDP予測モデルであるアトランタ連銀のGDPナウは15日、4~6月期GDP成長率予想をマイナス1.5%に更新しました。1~3月期に続き、4~6月期もマイナス成長となると、いわゆる「テクニカル・リセッション」ということになります。
専門家の一部には、リセッションとなった場合は金融引き締めを緩める必要があるとの指摘もあります。そういったなかにおいて、CPIといった「遅行指標」を主な根拠に、逆に金融引き締めを強化、利上げ幅を1%に拡大するとの見方は、普通に考えたらやはり過剰反応ではないでしょうか。
そうであれば、そんな「1%利上げ説」を主なきっかけとした140円に迫った米ドル高も、「行き過ぎ」の可能性があるでしょう。米ドル/円の90日MA(移動平均線)かい離率は、15日現在で8%程度となっており、これで見ても米ドルは短期的な「上がり過ぎ」懸念の強い状況が続いていると言えそうです(図表3参照)。
週足チャートで見ると、米ドル/円は先週まで7週連続陽線(米ドル高)となり、大した「息継ぎ」のないまま、すでに米ドル高・円安もかなり長く続いていることがわかります(前出の図表1参照)。
目前に迫った140円突破を果たしてからになるか、それともそれに届かないなかでとなるかはともかく、短期的に行き過ぎた米ドル高・円安の調整局面はそれほど遅くないタイミングでありえるのではないでしょうか。