3月26日~4月1日の「FX投資戦略」ポイント
〈ポイント〉
・先週の米ドル/円は日銀会合後から一段高となり、一気にこの間の高値、151.9円更新目前に迫りました。主因は、大幅な金利差ドル優位(円劣位)を受けた、投機的な円売りの拡大でしょう。
・この投機的な円売りが続くかどうかが、今週の最大の焦点。今週は日本企業の年度末となることに加えて、29日(金)からはグッドフライデーで欧米の多くの市場が3連休となるため、151.9円を超える円安とならなかった場合、反対に、円安ポジションの解消により、円高方向に振れる可能性があります。以上から米ドル/円は148.5~152.5円で予想。
先週の振り返り…米ドル一段高で151.9円の高値に接近
先週の米ドル/円は、火曜日の日銀金融政策決定会合後に一段と上昇し、年初来の円安(150.8円)を更新すると、一気に2023年11月と2022年10月に記録した「151.9円」に接近する展開となりました(図表1参照)。
日銀が金融緩和見直しに動いたことに対して大幅な円安が進むことになった理由として、「引き続き緩和姿勢に変わりないから」といった指摘も聞かれました。ただ、日米の金融政策を反映する2年債利回り差の米ドル優位・円劣位は、この日銀の決定以降大きく縮小に向かい、米ドル高・円安とはむしろ逆行するものでした(図表2参照)。
2年債利回り差より米ドル/円との相関性の高い日米10年債利回り差も、日銀会合後は米ドル優位・円劣位が縮小に向かい、さらに水曜日のFOMC(米連邦公開市場委員会)が「予想よりハト派の結果だった」との評価から米金利低下となったことで、その動きは一段と広がりました(図表3参照)。
以上のように見ると、先週の米ドル高・円安の動きを、今回の日米金融政策の結果で説明することには無理がありそうです。では、日米の金融政策決定会合を横目に見ながら、大きく米ドル高・円安となったのはなぜか。それは、今回の金融政策の結果をもってしても、日米金利差は記録的な「米ドル優位・円劣位」であり、この構図が変わらなかったことが影響していると考えられます。
今回の金融政策決定会合が開かれる前の段階で、日米の政策金利差米ドル優位・円劣位は5%以上にも達していました。これは、日銀が政策金利の誘導目標をマイナス0.1%からゼロに戻しても、当然ながら大きくは変わりません。
ちなみに、最近のように、日米の政策金利差が5%程度開いていた局面は、2006~2007年にもありました。当時は、CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円売り越しが17~18万枚まで拡大していました(図表4参照)。
以上のことが示しているのは、日米の政策金利差が5%程度と大幅に拡大しているなかでは、米ドル買い・円売りが拡大しやすいということでしょう。そう考えると、今回、日米の金融政策決定会合を横目に米ドル買い・円売りが再燃したのは、大幅な日米金利差に著変のないことを確認したことに起因しており、その意味では今回の日銀、FRB(米連邦準備制度理事会)の決定とは直接関係はなかったといえそうです。