※画像はイメージです/PIXTA

コロナ禍が長引くなか、自営業者や零細企業の破綻が徐々に増加しています。これまでは給付金や融資返済のリスケジュールなどで耐えてきた企業も、資金繰りが限界に達して行き詰まるケースが目立ちはじめました。限界まで追い込まれてしまった経営者たちの苦しい実情を見ていきます。

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    念願の飲食店をオープンしたが、残ったのは借金だけ…

    事業資金を金融機関から借入している自営業者や中小零細企業は、ほとんどの場合で代表者が個人で連帯保証しています。そのため、万が一返済ができなくなると個人で保証しなければならなくなり、払えなければ自宅の売却や自己破産を迫られることになります。

     

    Aさんは10年以上飲食店に勤務し、新型コロナが流行する約1年前に念願だった自分の居酒屋をオープンしました。開業資金は、自己資金に加えて金融機関から1,000万円の借入をして賄ったそうです。

     

    オープン直後はお店もまずまず盛況で、このままリピーターが増えてくれば軌道に乗りそうだと思っていた矢先に新型コロナが流行し、客足がパタッと止まってしまいました。給付金などで何とか凌いでいましたが、お店の維持費や返済で資金が足りず、さらに収入もほぼゼロになったため、生活費も確保できない状態に陥ってしまいました。

     

    しかもAさんは、住宅ローンも4,000万円近く残っており、収入が止まったことで自宅の維持も困難になっていきました。そして、生活費や住宅ローンの返済を賄うためにやむを得ずカードローンやキャッシングを繰り返すようになります。

     

    しかし、コロナ禍が長引くなかでお店の客足は戻らず、次第に膨れ上がったカードローンやキャッシングの返済にも行き詰まるようになっていきました。もうこれ以上は続けられないと判断したAさんはお店を閉店する決断をします。結局、念願だった自分のお店はわずか2年で幕を閉じ、開業資金1,000万円とカードローン・キャッシング200万円の借金だけが残りました。

    経営をあきらめ、自宅を処分し、自己破産へ…

    Aさんは自分のお店を閉じてほかの飲食店に再就職しましたが、残った借金と住宅ローンをいまの給料で払い続けることは不可能だと考え、自宅を手放して再出発することになりました。住み慣れたマイホームを手放すことは苦渋の決断でしたが、このままずっと返済に追われ続ける生活は精神的も限界だったといいます。

     

    自宅を任意売却した結果、住宅ローンも400万円以上の残債が残り、開業資金1,000万円とカードローン・キャッシングの200万円を併せて、自己破産の申立をすることになりました。コロナ禍が、Aさんのお店と家と生活すべてを奪っていったのです。

     

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