※画像はイメージです/PIXTA

コロナ禍が長引くなか、自営業者や零細企業の破綻が徐々に増加しています。これまでは給付金や融資返済のリスケジュールなどで耐えてきた企業も、資金繰りが限界に達して行き詰まるケースが目立ちはじめました。限界まで追い込まれてしまった経営者たちの苦しい実情を見ていきます。

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    返済を「滞納する前段階」で、金融機関に相談を

    もし、住宅ローンや事業資金の返済が苦しくなった場合にまずやるべきなのは、できる限り早く借入先の金融機関に相談することです。

     

    コロナ禍の影響などによる一時的な収入の低下であれば、元金の返済を猶予してくれたり、返済期間を延ばしてくれたりなどの相談に応じてくれることがあります。これをリスケジュールといいます。これにより、一時的な資金繰りであれば凌げる可能性が高まります。

     

    重要なのは、実際に滞納してからではなく、滞納が発生しそうな段階で先に相談することです。滞納してから相談しても、まずは滞納分を解消しないと相談に応じられないといわれてしまうことも多く、滞納前の方が金融機関も柔軟に対応してくれます。

    それでもダメならリセットも考える

    リスケジュールは一時的に返済を猶予してもらえるため、短期的には資金繰りが改善するメリットがあります。しかし、返済期間が延びることで金利負担が増えるため、長期的には支払い総額が増えてしまいます。

     

    そのため、慢性的に返済が厳しい場合は、自宅の売却や債務整理などで一度リセットすることも選択肢として考えることをお勧めします。

     

    いちばんやってはいけないのは、既存の債務の返済のために新たに消費者金融などから借り入れをすることです。お金を返すためにいまよりも更に金利の高い金融機関から借り入れをすることは多重債務の入口であり、ますます自分を追い込むだけになってしまいます。

     

    その場凌ぎで借り入れを増やし続けても、結局最後まで払いきれないのは目に見えており、破綻を無理に先延ばしても苦しい時間が長引くだけです。毎日返済に追われる苦しい時間が長引けば、精神的に参ってしまうのも当然で、無理をしすぎた結果うつ病を患ってしまう方もこれまでに数多く見てきました。そのようなことになる前に、どこで一旦引いてリセットするかを冷静に判断しなければなりません。

    リセットして再出発へ…重圧から解放された元経営者

    悲劇的な事例として冒頭でAさんのケースを紹介しましたが、実は後日談があります。

     

    Aさんはコロナ禍で自宅も念願だった自分のお店も失いましたが、いまはもう再就職して一から再出発に向けて歩みはじめています。自己破産の手続きが終わった後にもう一度お話を聞くと、晴れ晴れした様子で次のように語ってくれました。

     

    「返済を続けているときは、もう本当に苦しかったです。お金を返さなきゃいけない。お店も守りたい。そして何より家族の生活とこの家を守りたい。でもとてもじゃないけどお金が回らない。もう不安とプレッシャーで押しつぶされそうでした。精神的にも参ってしまい、家族に当たってしまうこともありました。当時、家の雰囲気はものすごく悪かったですね。

     

    これはもうどうにもならないところまで追い込まれた時に、妻から『もう一度一緒にゼロからやり直そうよ』といわれて、ようやく自宅の売却と自己破産をする決心ができました。

     

    自己破産してお店も家もすべてを失いましたが、精神的にはすごく解放されました。それまでは毎月の返済のことが頭から離れなかったのですが、それがなくなって気持ちに余裕ができました。逆にそうなって初めて、それまで自分がどれだけ追い詰められていたかということに気が付きました。

     

    家は以前よりも狭い賃貸になりましたが、それでも返済のプレッシャーから解放されたことで、これまでのように家がギスギスすることがなくなり、家族の笑顔も増えたように思います。

     

    こんな自分についてきてくれた妻と子供たちに心から感謝しています。恩返しができるように心機一転、こらから頑張っていこうと思います」

     

     

    加藤 康介
    ライフソレイユ株式会社 取締役

     

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