(※画像はイメージです/PIXTA)

6月22、23日(現地)とパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長による半期に一度の金融政策に関する議会証言が行われ、「上がり過ぎ」懸念の強い状況が続いていた米ドルは修正に向かいました。こうした先週にかけての米2年債利回りなどの低下が、米ドル/円の行方に与える示唆とはなにか……マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が考察します。

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    米2年金利次第で1米ドル「140円超え」も

    米ドル/円と米2年債利回りのこれまでの関係を前提にすると、米ドル/円が140円を超えるまで一段と上昇するためには、米2年債利回りが4%以上に一段と上昇することが必要と考えられます(図表5参照)。

     

    (出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成)
    [図表5]米ドル/円と米2年債利回り(2021年1月~) (出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成)

     

    その米2年債利回りは、基本的にFFレートと連動します。ということは、これまで見てきたように、FFレートが3.5%以上に引き上げられるのは難しいとしたら、米2年債利回りも3.5%以上に上昇する可能性は低くなり、それに連れる米ドル/円も140円までのさらなる上昇は難しいといった考え方になるでしょう。

     

    他方で、FFレート引き上げが、3%未満にとどまるといった具合に大幅な下方修正とならなければ、それに連動する米2年債利回りもさらに3%を大きく下回っていく可能性は考えにくいでしょう。そうであれば、米ドル/円も米金利低下を手掛かりにすぐに一段と下落するということではないと考えます。

     

    以上から、今週の米ドル/円の予想レンジは、このあいだの米ドル高値を大きく更新するのは難しく、一方で米ドルの反落にも自ずと限度があるとするなら、133.5~136.5円中心といったところではないでしょうか。

     

    今週は、30日に注目の米インフレ指標、PCEコアデフレータの発表が予定されているほか、27~29日にECB(欧州中央銀行)フォーラムというイベントがあり、パウエルFRB議長、ラガルドECB総裁などの発言が注目を集めることになりそうです。

     

    こういったインフレ指標や金融政策キーマン達の発言などを受けて、主に米利上げ見通しがどのように推移するか、それに対する米2年債利回りなど米金利の動きが、米ドル/円の行方を考えるうえでの手掛かりになりそうです。

     

     

    吉田恒

    マネックス証券

    チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

     

    ※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

     

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