中国に呑まれるのか正面から向き合うのか
■中国の本性 中国公船の尖閣周辺侵入
2021年2月上旬、沖縄県の尖閣諸島周辺の日本の領海に、中国海警局の船が2日連続で侵入しました。日本の漁船に接近しようとするシーンもありました。
中国の海警局が外国船に対して武器の使用を認める「海警法」が2月1日に施行されたばかりでした。日本政府は抗議しましたが、中国の外務省は「釣魚島と付属する諸島(尖閣諸島)は中国固有の領土であり、中国の海警局が釣魚島の海域で航行するのは主権を守るための正当な行為だ」と主張しました。その後も海警局の船の侵入が続いています。
これがある意味、中国の本性です。日本人の国民感情としては抵抗感が増してしまいます。尖閣諸島をめぐる領土の問題。解決の糸口が見えていません。日本政府も日本国民も主張すべきことは中国にしっかり伝えていくべきです。
ただ、かたくなに敵視するやり方だけでなく、関係改善を前提とした、機転が利いたやり方を見いだしたいところです。敵対、憎しみ、警戒から生まれるのは負の連鎖です。
■コロナ被害のテレビ放送が突然遮断 中国の情報統制
2021年2月。世界保健機関(WHO)の調査チームが中国・武漢に入り、新型コロナウイルスの感染状況や起源について調査していました。武漢のウイルス研究所や海鮮市場などを視察。アメリカのトランプ政権は、ウイルスは武漢から世界に広がったなどと主張しましたが、感染経路などがどこまで解明できるのか注目されていました。
その最中、中国で、アメリカのCNNテレビの放送が突然、中断されました。CNNは、武漢で新型コロナウイルス感染症で家族を亡くした男性を特集していました。しかし、その特集が始まった途端にテレビ画面にカラーバーが表示されました。武漢の被害者の特集が終わり、別のニュースが始まると、CNNは通常の放送に戻りました。
日本ではあり得ない、こうした現象は珍しくありません。こうしたやり方が、中国政府の情報統制の手法のひとつとみられています。中国政府が、遺族らが政府の責任を追及する動きなどに神経をとがらせていることがうかがえます。
一方で、国内の感染をしっかり抑え込んでいるというアピールはしっかりします。大勢の中国国民は、事実の全体像を知らされぬまま、毎日を過ごしているのでしょうか。
■中国の巧妙なやり方 脇の甘い日本の企業人
2000年代前半、日本企業の経営者らは、次々と中国の巧妙な手口に呑み込まれました。
日本政府関係者によれば、中国を訪れた日本の経営者や幹部らは、夜の街で、いわゆる“女性の罠”にはまり、その弱みを握られ、ビジネスなどで様々な“圧力”や“条件”を突き付けられ、中国の言いなりになったというのです。中には、名前がよく知られた経営者もいたそうです。日本企業のこうしたケースが相当数に上り、「やむを得ず日本政府も対応せざるを得なかった」(政府関係者)といいます。日本企業は、どれほどのダメージを被ったのでしょうか。
直接的には表面化していませんが、数々の無理難題を中国側から押し付けられた可能性があります。無論、脇が甘い日本の企業人にも責任があります。猛省するべきでしょう。しかし、これは中国の実に巧妙なやり方と言っていいかもしれません。
「このケースでは、中国は一度“取引”したら、再び脅すことはしなかった。そこはきっちりしていたと思う」(日本政府関係者)。しかし、今でも、日本企業の経営のマイナスとなるような案件が尾を引いているようなことはないのでしょうか。中国は、賢く、鋭く、抜け目なく、あざとい面があります。油断は禁物です。
中国と向き合う時、こうした手法を取ることがあるのだということを覚えておかなければなりません。日本政府関係者は「政治家、企業経営者、ジャーナリストなどは、今後も用心した方がいい」と警告しています。