「事故物件ガイドライン」が告知義務におよぼす影響
近年、高齢化社会が進み孤独死などが社会問題化していることもあり、「事故物件」に注目が集まっています。
そのようななか、令和3年10月8日、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」、いわゆる「事故物件ガイドライン」が策定されたことによって、事故物件の取引にどのような影響があるのか、不動産オーナーのあいだで関心が高まりました。
これまで「事故物件」の問題は、法的には、「心理的瑕疵」すなわち「建物にまつわる嫌悪すべき歴史的背景等に原因する心理的欠陥(横浜地裁平成元年9月7日、判例タイムズ729号174頁)」があるかどうか、個別の裁判例を検討しなければわからないという状況でした。
これが、今後は統一的なガイドラインが示されるとして、高い期待と注目を集めたのです。
「事故物件ガイドライン」における告知義務の範囲
事故物件とは、法律用語ではありません。そのため、人の死が関係する物件程度の意味合いで、世間では用いられているのではないかと思います。
また、ガイドラインでも、事故物件自体の明確な定義が定められたわけではありません。 では、人の死が関係する物件の告知義務について、ガイドラインはどのように定めているのでしょうか。
まず、自然死の場合は「老衰、持病による病死など、いわゆる自然死は、そのような死が居住用不動産について発生することは当然に予想されるものであり、統計においても、自宅における死因割合のうち、老衰や病死による死亡が9割を占める一般的なものである」として、原則として「賃貸借取引及び売買取引いずれの場合」も、告知義務の対象外とされています。
次に、事故死については「自宅の階段からの転落や入浴中の溺死、転倒事故、食事中の誤嚥など、日常生活のなかで生じた不慮の事故による死」についても、日常で当然に生じ得るものなので、原則告知義務対象外となっています。
ただし「原則として」とあるように、例外もあります。それが「人が死亡し、長期間にわたって人知れず放置されたこと等にともない、いわゆる特殊清掃や大規模リフォーム等(以下「特殊清掃等」という)が行われた場合です。
この場合には、臭気や心理的な影響の度合いも大きいと考えられるので、告知義務の対象となってきます。 より明確なのは、自殺や他殺等の典型的な場合でしょう。これらは、裁判例傾向としても、「長期間、心理的瑕疵の影響あり」とされる傾向が強い事柄ですから、当然に告知義務の対象となってきます。
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