(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資における修繕リスク。新築でも中古でも、一定年数が経過すると、将来的な資産価値を維持していくためにも、修繕の必要が出てきます。そこで今回は、現役不動産投資家である不動産鑑定士兼税理士の沖田豊明氏が自身の賃貸経営の実例とともに不動産投資における修繕状況確認の重要性について解説します。

仕事から帰宅した入居者がドアを開けると…

築27年、利回り7%といわれて筆者が実際に購入した中古一棟マンションでの実例です。

 

このマンションの1階へ20代の会社員女性が入居してきました。入居からわずか2週間後、仕事を終えてマンションへ帰宅し、ドアを開けると自室がとんでもない有様になっていたのです。

 

なんと、部屋全体が水浸し。天井から水が漏れ続けているのです。女性は慌てて管理会社へ連絡しました。

 

水漏れの原因

1階と2階のあいだを通る給排水管のつなぎ目部分に穴が開いてしまい、水が漏れたようです。調べてみると施工不良などではなく、築年が古いための経年劣化が原因であることがわかりました。マンションの給排水管の耐用年数は一般的に20~30年といわれているため、妥当な時期といえます。

 

実際に管理会社の担当者が女性の部屋へ入ると、ベッドはダメ、服もすべてダメ、冷蔵庫もダメ……。甚大な被害を受けていることがわかりました。女性には一時的に別の住居を用意し、避難してもらうことに。修理のために2階にある真上の入居者のもとへ相談に行きましたが、運悪く法事で地方に帰省中。2日は帰ってこないことがわかります。早急な対応ができず、オーナーとしては踏んだり蹴ったりです。

 

困り果てながらも、なんとか対応し、次はお金の問題がやってきます。

保険会社からの請求「500万円」

当然、保険に加入していたため、女性の持ち物は保険ですべて弁償しました。しかし、一度は保険会社が当該入居者へ費用を支払うのですが、これは立て替えに過ぎません。

 

今回のケースでは、オーナーの建築物の管理不備と判断されました。そのため、保険会社から筆者に損害賠償請求があり、500万円を支払うことに。事故ではないため、こうしたケースでは保険会社からは補償がおりず、オーナーの責任となるのです。

 

余談ですが、この部屋の女性が水漏れの直前に50万円程度の高級美顔器を購入していました。「これも弁償してくれ」と言われたのですが、その女性の母親が美顔器を持って帰っていたのです。

 

「まだ使えるから母親が持って帰ったのではないか、だったら弁償の必要はないじゃないか」「いや、水漏れのせいで壊れてしまった」と揉めたのですが、結局美顔器も含めて弁償することに。今回弁償したもののなかで最も高価なものとなりました。

 

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本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

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