老後資金が足りなくて…年金月22万円の67歳妹、仲良し・顔もそっくりの76歳姉を「実家から追い出すしかありません。」母の遺産を巡る〈醜すぎる争族〉の末路【CFPが解説】

老後資金が足りなくて…年金月22万円の67歳妹、仲良し・顔もそっくりの76歳姉を「実家から追い出すしかありません。」母の遺産を巡る〈醜すぎる争族〉の末路【CFPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

相続の際、きょうだい間で揉める原因はさまざまです。自分たちは仲が良いから、親は大してお金を持っていないから、そう思っていても「もらえるはずのものがもらえない」と多くの場合はトラブルに陥ります。本記事では、山田さん(仮名)の事例とともに、「実家」を火種とした相続トラブルについてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

仲良し姉妹が母の死をきっかけに…

山田千代子さん(仮名/67歳)は夫の崇さん(仮名/66歳)とともに生活しています。山田さんには、9歳年上の姉・雅子さん(仮名/76歳)がおり、車で30分程度離れた場所に住んでいて、お互いに家を行き来していました。年は離れていますが、本当に仲の良い姉妹でした。顔も似ており、特に笑ったときの表情は瓜二つ。

 

姉妹仲が決裂

山田さんの母が98歳で他界しました。母は実家で、姉の雅子さん夫婦と以前は同居していましたが、亡くなる6年前から施設に入居。ずっと元気に過ごしていたのですが、ここ半年で急速に弱ってしまい、施設で息を引き取ったのでした。

 

葬儀を終えて家族で一息ついていたころ、山田さんは母の遺産について話を始めました。母の遺産は実家(住宅評価額:約3,000万円)と、預貯金が500万円。母は生前、姉の雅子さんと同居しており、自宅には姉の雅子さんが暮らしていました。

 

この遺産を巡り、姉妹は泥沼の争族に……。

是が非でも遺産が欲しい妹

山田さんが遺産を気にしていたのは、子供の学費の悩みがありました。結婚が遅かった山田さんには2人の子供がいて、2番目の子供はつい2年前に大学を卒業したばかりでした。そして、そこで老後のためのお金をすべて使い、残された預金もほとんどなく、夫婦で合わせて月額22万円の年金を受け取り、スーパーでアルバイトをしながら生活しているだけでしたので、今後の生活を不安に思っていたのでした。

 

そんな背景もあり、山田さんは内心、母の遺産をアテにしていたのです。母の遺産、自宅建物と土地が3,000万円に対し、預貯金は500万円で、法定相続人は山田さんと姉の雅子さんの2人だけです。

 

遺言書も残していないため、相続財産3,500万円は姉妹で均等にわけることになります。ですので、山田さんは事前に相続について調べ、どの程度遺産を受け取ることができるのかを調べていたのです。

 

そして、法定相続分について調べた山田さんは、雅子さんに対して法定相続分の1,750万円に対して500万円の預金しかもらえないのでは不公平だと、残りの1,250万円分について請求しました。

 

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