賃貸経営で入居者トラブルが起きた場合の対応法
賃貸経営をしていくなかで入居者トラブルに遭遇したら、早期の対応が不可欠といえます。一般的なトラブルへの対応方法は、次のとおりです。
現状を把握する
トラブルの可能性を知ったら、まずは現状を把握することからはじめましょう。特に、騒音などは人によって感じ方が大きく異なることもあるため、注意が必要です。
一部の入居者からの苦情だけで判断して対応を早まるのではなく、たとえば問題の時刻に何度か建物へ出向くなどして状況を確認するとよいでしょう。
口頭や文書などで注意する
トラブルの原因となっている事実を確認したら、まずは口頭や文書などで改善を促します。家賃の滞納や入居人数オーバーなど特定の入居者のみに該当することであれば、はじめからその入居者のみに通知します。
一方で、騒音やにおい、ゴミ出しマナーなど物件全体に関係する内容であれば、まずは全戸に文書を配布したりエントランスに貼り紙をしたりするなど、対象者を特定せずに注意を促すとよいでしょう。
それでも改善がなされず、なお契約違反や悪質なマナー違反を続ける場合には、個別で連絡をするなどの対応が必要となります。
内容証明郵便を送る
口頭や文書などで注意をしてもなお状況が改善されない場合には、内容証明郵便を送付します。
内容証明郵便とは、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、日本郵便株式会社が証明する制度です。内容証明郵便を送付する主なメリットには、次のものがあります。
- 心理的な圧力を加えられる:これ以上トラブルを続ければ訴訟も辞さないとの物件オーナーの意思が伝わることから、滞納分の支払いや契約違反の是正などにつながる効果が期待できます
- 訴訟の証拠となる:滞納や契約違反が是正されず相手方に物件からの退去を求める際に、事前に違反の是正を求めたことの証拠となります
- 文書の内容の記録が残る:内容証明郵便で送った内容は公的に記録がされるため、相手方から「聞いていない」などと主張されずに済みます
内容証明郵便には、違反の内容の他、違反を是正すべき期限と期限までに是正されない場合には契約を解除する旨を明記するとよいでしょう。
なお、内容証明郵便は、その後訴訟などとなった際に重要な証拠となるものです。不用意なことを記載してしまえば、物件オーナーにとって不利な証拠を提供することにもなりかねません。そのため、遅くとも内容証明郵便を作成する段階では弁護士に相談をされることをおすすめします。
賃貸借契約を解除する
内容証明郵便を送付してもなお、滞納分の家賃が支払われないなど違反状態が是正されない場合には、契約に従って賃貸借契約を解除します。入居者に解除の通知を行い、退去を申入れましょう。
物件の明け渡し訴訟を提起する
賃貸借契約を解除しても入居者が退去をせず物件に居座る場合には、物件の明け渡し訴訟を提起します。裁判所が明渡しを認めれば、物件からの退去を命じる判決が下されます。この判決が出ても入居者がなお物件に居座り続ける場合には、強制執行により強制的に物件から退去させることが可能です。