(※画像はイメージです/PIXTA)

不動産投資で不動産購入時にかかる税金や、売却時にかかる税金などについて詳しく紹介していきます。また、不動産投資で節税対策をする場合の注意点についてもあわせて解説します。

不動産投資に関する税金について気になっている方も多いのではないでしょうか。また「節税」につながると聞いて、不動産投資を検討している方もいるかもしれません。

 

不動産投資では様々な税金が発生するため、かかる税金について知っておくことで経費がどの程度かかるのかを把握できるようになります。

 

この記事では、不動産投資にかかる税金について詳しく紹介していきます。

目次
1. 不動産投資にかかる税金は?
1.1. 不動産購入時にかかる税金
1.2. 管理・運営にかかる税金
1.3. 不動産売却時にかかる税金
2. 不動産投資の所得はどこまでが範囲?
3. 課税対象となる範囲は?
4. 不動産投資は税金対策になる?
5. 不動産投資で節税する際の注意点
5.1. 節税のためだけに不動産投資を始めるのはおすすめしない
5.2. 不動産投資が順調だと節税が難しくなることも
5.3. 節税にはなるがキャッシュフローも考慮すること
6. うまく節税するためのポイント
6.1. 青色申告をうまく活用する
6.2. 支出にかかった費用をすべて経費として計上する
6.3. 難しいことは専門家に相談する
7. 不動産投資にかかる税金を正しく理解して利益を最大化しよう

1. 不動産投資にかかる税金は?

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

不動産投資には、大きく分けて3つのシーンで税金が発生します。それぞれどのような税金がかかるのか解説します。

 

1.1. 不動産購入時にかかる税金

不動産投資でかかる税金の1つ目は、不動産購入時にかかる税金です。どのような税金がかかるのか確認していきましょう。

1.1.1. 不動産取得税

不動産取得税は、不動産を取得したときに課税されるものです。主に土地・家屋の購入または贈与などで取得したときに発生します。

 

不動産取得税の税額は、「不動産の課税標準額×税率」で計算されます。不動産の課税標準額というのは、不動産の購入価格ではなく「固定資産台帳」に登録されている価格のことです。

 

不動産取得税の税率は、原則は下記の通りです。

 

住宅・土地に対するもの…×4%
宅地に対するもの…×4%

 

ただし、2024年3月31日までは下記の税率となります。

 

住宅・土地に対するもの…評価額×3%
宅地に対するもの…評価額×1/2×3%

 

各自治体の申請方法を調べて手続きをしてください。

1.1.2. 印紙税

印紙税は売買契約書を作成するときに必要となる国税です。主に「売買契約書」「金銭消費貸借契約書(ローン)」「仮契約書」「予約契約書」に発生します。売買契約書などに収入印紙を貼り付けて納税します。

 

契約書の記載金額別の印紙税は以下の通りです。

 

※国税庁HPより引用
※国税庁HPより引用

 

ただし、2022年4月1日~2024年3月31日に作成する「不動産譲渡契約書」のうち、契約金額が10万円を超えるものおよび「建設工事請負契約書」のうち、契約金額が100万円を超えるものには、下記の軽減措置が適用されます。

 

※国税庁HPより引用
※国税庁HPより引用

1.1.3. 登録免許税

登録免許税は、不動産を購入し所有権の権利を登記(申請)するときに必要な税金です。登録免許税の税額は下記の計算で決まります。

 

登録免許税=固定資産税評価額×税率

 

「固定資産税評価額」を知るためには、「固定資産評価証明書」もしくは「課税明細書」を確認しましょう。

 

1.2. 管理・運営にかかる税金

次に、土地や不動産などの管理・運営にかかる税金について解説していきます。

1.2.1. 固定資産税

固定資産税は、土地・家屋・償却資産を所有している人が支払う税金です。固定資産税の税額は、各自治体が固定資産の評価をすることで決定した評価額をもとにして計算されます。

 

固定資産税にも、下記の軽減措置があります。

 

・住宅1戸につき200平方メートル以下…課税標準額が1/6(小規模住宅用地)
・住宅1戸につき200平方メートルを超える…課税標準額が1/3(一般住宅用地)

1.2.2. 都市計画税

都市計画税は、固定資産税と一緒に課税される税金です。各市町村によって税率が異なりますが、上限が0.3%と定められています。また地域によっては減税措置が適用される場合もあります。

 

ただし、すべての不動産が対象になるわけではなく、都市計画法の市街化区域内にある建物や土地が対象になるため、課税対象かどうかを自治体の窓口や不動産会社で確認しておきましょう。

1.2.3. 所得税・住民税

所得税・住民税は、不動産投資で発生した所得に応じて支払う税金です。家賃などの収入から経費を差し引いた金額となります。

 

所得税は累進課税と言い、所得が高くなると税率も高くなっていきます。そのため、税率も所得金額によって変わってきます。

 

住民税は所得割と均等割の2つの区分からなり、都道府県民税と市区町村民税を合わせたものです。住民税も所得税と同じく、所得金額によって金額が変わります。

1.2.4. 個人事業税

不動産投資の規模が大きくなってくると、事業税がかかる場合があります。不動産投資では、アパートやマンションの賃貸は「不動産貸付業」が適用され、駐車場経営は「駐車場業」として課税対象となります。

 

事業税の対象になる規模は、おおよそ10室以上を保有する程度となっていますが、課税所得が290万円以下の場合は非課税となります。

1.2.5. 消費税

不動産投資で得られる家賃収入には、消費税が「かかる場合」と「かからない場合」があります。課税と非課税の違いは下記の通りです。

 

・住宅用として貸し出す場合…非課税取引
・事務所や店舗、倉庫などの事業用として貸し出す場合…課税取引

 

借主が個人か法人かという区別ではなく、どのような目的で貸し出しているかで判断されます。

 

1.3. 不動産売却時にかかる税金

不動産投資を行っているなかで、もし不動産を売ることがあれば、売却時にも税金がかかります。ここでは、不動産売却時にかかる税金について解説します。

1.3.1. 売却益にかかる所得税・住民税

不動産投資で物件を売却した場合、「売却益」が「譲渡所得」として課税対象になります。売却益は下記の計算式で算出されます。

 

譲渡所得=収入金額(売却時の金額)−取得費(取得時の金額と費用)−譲渡費用(売却時の費用)

 

上記で算出した譲渡所得は、所得税と住民税の対象になります。

 

ただし、給与所得や事業所得などは1年分の所得を合算して税金を計算する「総合課税」ですが、不動産の譲渡所得は、他の所得と合算できず個別の納税となる「分離課税」です。そのため譲渡所得は給与所得や事業所得とは切り離して算出します。

 

譲渡所得税率は下記の通りです。

 

・長期譲渡所得(不動産の所有期間が5年を超える)…所得税が15%、住民税が5%
・短期譲渡所得(不動産の所有期間が5年以下)…所得税が30%、住民税9%

 

どちらの場合でも、これに加えて2037年まで復興特別所得税2.1%が課されます。

2. 不動産投資の所得はどこまでが範囲?

(※画像はイメージです/PIXTA)
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不動産投資での所得とは、基本的に不動産投資で得た収入のすべてが所得として計算されます。具体的には下記のようなものが該当します。

 

・家賃収入
・更新料、頭金、名義書換料など
・礼金
・敷金、保証金などのうち返還しないもの
・共益費(水道代や電気代)
・駐車場代(駐車場を貸して収入を得ている場合)

 

不動産所得の収入には家賃収入だけでなく、上記のように敷金や保証金なども含まれます。

3. 課税対象となる範囲は?

(※画像はイメージです/PIXTA)
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課税対象となる不動産所得は、次の計算式で割り出します。

 

不動産所得=総収入金額−必要経費

 

不動産投資の経費とは「不動産収入を得るために必要な費用」のことです。必要経費には、次のような項目があります。

 

・税金(固定資産税、不動産取得税など)
・保険料
・減価償却費
・修繕費
・管理委託費
・ローン金利

 

また、住民税や所得税は不動産投資以外でも発生する税金のため、不動産投資としての経費には計上できません。

4. 不動産投資は税金対策になる?

(※画像はイメージです/PIXTA)
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不動産投資によって、所得税や住民税、相続税、贈与税の節約ができます。

 

不動産所得は総合課税の対象となりますが、総合課税には、利益と損失を相殺できる「損益通算」ができるというメリットがあります。不動産投資で赤字が発生した場合でも、給与所得などと損益通算すれば、赤字と黒字を相殺できるため、節税につながります。

 

また、不動産贈与時の贈与税は、国税庁が定めた「相続税評価額」を使用して算出しますが、これにより一般的に時価より2~3割ほど下がります。そのため、不動産を売却後に贈与するより、不動産として贈与するほうが節税につながります。相続税についても相続税評価額により算出されるため、相続税の節税にもつながります。

5. 不動産投資で節税する際の注意点

(※画像はイメージです/PIXTA)
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不動産投資で節税をするためにはいくつかの注意点があります。どのような注意点があるのかを順番に確認していきましょう。

 

5.1. 節税のためだけに不動産投資を始めるのはおすすめしない

不動産投資の目的は、本来であれば家賃収入によって利益を出すことです。

 

そのため、節税対策のためだけに不動産投資を始めてしまうと「利益がでてしまってかえって税金がかさんだ」という事態や、逆に想定外の損失が出た場合は、不動産投資のために組んだローンの返済が難しくなるといったリスクも考えられます。

 

基本的に不動産投資での節税は「赤字を出す」ことが必要なため、節税のためだけに不動産投資を始めるのではなく、あくまで経費がかさんだときに節税を考えるといった認識でいましょう。

 

5.2. 不動産投資が順調だと節税が難しくなることも

不動産投資で順調に収益が得られるようになると、かえって節税が難しくなる可能性があります。先にも解説したように「損益通算」ができなくなってしまうため、課税対象額を減らすことが難しくなるためです。

 

しかし、不動産投資の本来の目的は収益を得ることですので、節税を考えるより、収益が上がる方法を考える方がメリットは大きいでしょう。

 

5.3. 節税にはなるがキャッシュフローも考慮すること

不動産投資で節税は可能ですが、基本的に赤字を出さなければならないため、手元の現金が減ってしまうリスクも考えられます。

 

不動産投資には、設備の故障などにより想定外の出費が発生する場合や、空き室続きで家賃収入が得られないといったリスクがつきまといます。そのようなときにも手元に現金があると対応ができるでしょう。

 

不動産投資で節税を考える場合はキャッシュフローも考慮し、収支のバランスを保ちながら運用していくことをおすすめします。

6. うまく節税するためのポイント

(※画像はイメージです/PIXTA)
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最後に、不動産投資で上手に節税をするためのポイントを3点紹介します。不動産投資を始める前にしっかり確認しておきましょう。

 

6.1. 青色申告をうまく活用する

不動産投資を行う場合、青色申告をすることで、10万円もしくは65万円の青色申告特別控除が受けられる場合があります。控除が受けられる条件は下記の通りです。

 

・事業所規模で不動産投資を行っている(戸建などの貸付5棟以上、マンション・アパートの貸付10室以上)
・複式簿記で記帳を行っている
・確定申告書に貸借対照表・損益計算書などを添付した上で期限内に提出する
・e-Taxや電子帳簿保存で確定申告を行う

 

なお、不動産投資の規模が事業所規模に満たない場合でも、10万円の控除は受けられます。

 

6.2. 支出にかかった費用をすべて経費として計上する

不動産投資にかかった費用は、基本的にすべて経費として計上しましょう。課税範囲は「総収入金額−必要経費」で計算できるので、かかった費用を経費として漏れなく計上することで、利益が最大化されます。

 

領収書管理など大変なことも多いですが、節税につながりますので、面倒でも必ず行いましょう。

 

6.3. 難しいことは専門家に相談する

不動産投資を行ううえでわからないことがあったときは、専門家に相談しましょう。特に不動産投資初心者の方にとっては、法律や税金についてなど、様々なことに不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

 

そのようなときは専門家に相談することで、スムーズに解決する場合も多いです。

 

また、専門家への相談料などは経費として計上できるので、不動産投資を始めたばかりのときは、専門家に頼ってみるのもおすすめです。

 

7. 不動産投資にかかる税金を正しく理解して利益を最大化しよう

(※画像はイメージです/PIXTA)
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不動産投資を始めると様々な税金がかかりますが、それぞれがどのようなときに発生するのかを知っておくことで、予算も立てやすくなります。

 

また、不動産投資で税金の節約も可能ですが、不動産投資のメインの目的は収益を得ることです。そのため、基本は収益が上がることを目標とし、経費計上などで、可能な範囲で節税を考えることをおすすめします。

 

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