「お断りフレーズ」事前にいくつか用意する
■周囲に振り回されないためには
社会人であれば、誰しも1度はこうした同調圧力を感じたことがあると思いますが、断りにくいからといってなんでも周囲に合わせ、受け入れていると、次第にあなたはめんどくさい人に依存され、都合よく利用される存在になってしまいます。
たとえば、あなたが嫌がっている、迷惑に思っているにもかかわらず、都合を考えずに「自分の話を聞いて!」「手伝って!」とやってくる同僚はいませんか? そういう人に心当たりがある人は要注意。「あなたの都合を無視した言動を繰り返す」のは、あなたへの依存度が高まっているサインです。
さらに、そんな無理なお願いを断れないあなたも、相手に振り回されている状態に陥っています。
万が一このような状況になってしまったら、とにかく相手と物理的な距離をとってください。
全く会わない、話さないようにすることは難しいでしょうから、まずは相手が愚痴や悪口を言い始めたら、
「急ぎで対応しなければならない案件があるから、5分だけ聞くね」
というように、時間を制限するところから始めてみましょう。
「今ちょっと忙しいから、申し訳ないけど5分なら大丈夫」
「私も今余裕がないから、10分だけね」
など、お断りフレーズをいくつか用意しておくといいでしょう。
それができるようになったら、時間制限も外します。
「今忙しくて時間をとるのが難しい」
「今日は仕事の後(昼休み)に用事があって……」
など、時間をとりたくてもとれないことをアピールすれば、あなたが悪者になることもないでしょう。
私たちは、相談を受けるとつい、知らず知らずのうちに「いいアドバイスを返したい」と頑張ってしまうところがあります。
慣れない人が他人の悩みを受け止めることは、それだけでもかなりの精神的負担になるため、依存状態が続くとあなた自身が疲れてしまいます。
精神的に余裕がある時なら大丈夫かもしれませんが、そのような状態が長引けば「いい加減にして!」と大爆発してしまうこともあるでしょう。
依存タイプの人は悪気なくこうした行動をとっているため、今まで親切に話を聞いてくれたあなたが突然キレたと思い、逆ギレされることも少なくありません。
あなたの都合や気持ちを無視して依存してくる相手にも非があるのに、あなただけが悪者にされるなんてたまったものではありませんよね。
実は、私たち医療従事者も、患者さんに依存されないよう距離をとることがあります。
たとえば、こちらが提案する頻度よりも頻繁に通院したがる方は、医療従事者に対する依存度が上がっています。
そういう場合は、依存度が上がっている状況を説明したうえでお断りし、適切な距離を保つのです。
優しさや思いやり、協調性は大切ですが、他人に合わせてばかりでは振り回されてしまいます。
社会に出れば、周囲の尺度で物事を判断するばかりでなく、自分のものさしを持つことも大切です。
この「ものさし」とは何かというと、私は「感情」だと思っています。
会社では「やりたくないからやらない」というわけにはいきませんが、周りと足並みをそろえるために好きではないものを無理に好きになる必要はありません。
何を感じるかは、あくまでもあなたの自由。自分自身の感情まで否定しなくていいのです。