自分の生き方問われる結婚や子どもの誕生
■人生を変えることになるUターン転職には覚悟が必要
これは私の会社独自の統計ですが、家族連れや40代以上でUターン転職して、再び都会に戻って行ったというケースは過去1400件超のなかに一件もありません。みんな覚悟をして、失敗のないように慎重に転職や転居をして来ているからです。
若い単身者では数人ですが都会へ戻ったケースがあります。いずれも転職先になじむまでのチューニング期間を乗り越える前に、「イメージしていたのとちょっと違った。やっぱり自分に相応しいポジションは都会にあるのかも」と言って帰って行きました。
彼らにとってUターンはいくつかある生き方の選択の一つで、そこまで必要ではなかったということだと思います。これを失敗と呼ぶかどうかは人によると思いますが、私は都会で生きる覚悟ができたという意味では、Uターン転職を試したことは彼らにとって決して無駄ではなかったと思っています。
とはいえせっかく地方に戻るなら、「都会も良かったけど、故郷で暮らすのはもっといいね」「Uターンできて幸せになれた」と言ってもらいたいと強く思います。仕事だけの成功ではなく、プライベートを含めた人生そのものを成功してほしいのです。
そのためには、やはり自分の根源的な生き方やあり方を見つめて、地元で生きるテーマを見つけていくことが必要です。
■自分の生き方、あり方とは何かを突き詰める
根源的な生き方やあり方の意味というと哲学的に聞こえるかもしれませんが、これは決して難しくありません。素直にシンプルに、自分や家族のなりたい姿をイメージすれば必ず見えてきます。
多忙過ぎる都会生活では目の前の生活をこなすのに精一杯になってしまいがちですが、どう生きたいかという理想は本当は誰もが心のなかにもっているものです。人それぞれ形や大きさは違っても、これをもたない人は絶対にいません。
結婚や子どもの誕生、今後のキャリア構築などをきっかけに、立ち止まって心のなかの自分の声を聞き、「今の生き方でいいのか」「もっと自分らしい生き方があるのでは」と考え始めるのが30代の時期です。
私自身、自分の地元ではなく妻の地元へのIターンになるのですが、地方への転職を選んだ経験があります。
私の両親は二人とも長崎出身で、父は転勤族でした。仕事の都合で家族ごと各地を転々とし、途中から子どもたちの転校を考慮し単身赴任をし、最終的に両親は静岡に根を下ろすことを決めました。そんなふうにもともと土地に縛られることの少なかった両親ですから、私が結婚するときも「自分の好きなところで暮らしなさい」と言ってくれました。それで、私は妻の地元で暮らすことを選んだのです。
新潟で暮らすことを選んだ背景には、幼少期の転校や父の単身赴任で家族がいつも一緒ではなかった経験から、自分の子どもには、親の都合による転校もなく家族で一緒に過ごす時間をできるだけ多くもってほしいという思いがありました。
こんなふうに自分はこれを実現したいという強い思いがあれば、職探しでも「転勤のない仕事」「妻の実家からの通勤圏内」「子どもは公立進学なので年収はこれくらいでいける」などの軸が固まります。
江口 勝彦
株式会社エンリージョン 代表取締役
キャリアコンサルタント
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