「損得勘定」でUターン転職はできない
■自己理解が浅い者はゴールを見失う
地方への転職では希望する条件に見合う働き口が見つかりにくいことがありますが、あれこれと条件を変えながら職探しをしているとどうしても軸がブレやすくなってしまいます。
そのうち、何でもいいから転職先を見つけたいと思うようになります。ずるずると条件を妥協していくことが出てきて、ふと気づくと自分は何がやりたかったのか分からなくなり、本来の望みとは全然違う目的地に着いていることがあるのです。
ゴールを見失うという事態は、転職の動機や理由の部分が弱い場合によく起こります。
■損得勘定やその場の感情で転職しようとしていないか
また、損得勘定や憧れで地方に住もうとしている場合もゴールがブレやすいです。例えば、
「地元のリゾートマンションが安くて、年間200万円くらいで住めるらしい。そっちに引っ越したほうがお得じゃない? 都会を離れてのんびり楽しく暮らそうよ」
「山が好きなので信州の田舎町に引っ越したい。週末はトレッキングしようと思っています。残業がなく年間休日130日以上の良い転職先はありますか?」
こういう動機で転職相談に来られると、私のほうも「うちでは少し難しいですね」とお答えするしかありません。地方の企業が求めている人物像とはまったく違うからです。
どっちに住めばお得かで移住を決めたり、田舎暮らしへの憧れなどが優先されるケースでは、ほかにお得なものや面白そうなものが見つかれば簡単にそっちに気持ちが移ってしまいます。すると今の暮らしに満足できなくなり、転職したところで長続きはしません。
私が伝えたいのは地方移住や田舎暮らしのスキームではなく、もっと根源的な生き方、あり方の実現です。自分の人生をどうしていきたいか、自分はどうありたいかという己のテーマのために行うUターン転職こそが、自分や家族の幸せを叶えることができるのだと考えています。