Uターン転職の面接で大事な自己PR
■採用面接での企業側の関心は「なぜ転職するのか」と「自社のメリット」
情報収集から企業選定までは、求職者の側が多種多様な求人のなかから企業を選ぶ立場にあります。しかし応募から面接の段階に入ると、逆に企業側から選ばれる立場になります。このとき大事になってくるのが自己PRです。
自己PRは自分の長所を並べればいいというものではなく、「企業が求める人材と自分はマッチしている」という点を分かりやすく伝える必要があります。
採用面接で企業側が聞きたいのは、大きく二つのポイントです。
一つはUターン転職したい理由です。この質問をすることで、求職者がどれだけ強い動機や覚悟をもって転職しようとしているのかを見ます。
もう一つは、求職者の強みは何かということです。あなたを採用することによって、自社に何をもたらしてくれるのかを知りたいのです。
この二点について説得力をもってしっかり語れないと、相手の共感や興味は得られません。よくある面接の失敗談として、「なぜUターン転職したいのですか」と聞かれて、「ワークライフバランスを改善したい」と答えるパターンがあります。
ワークライフバランスという言葉は、ワークとライフの比率が半々とか、ワーク4でライフ6といった意味合いで面接官に伝わることが多いです。すると、仕事にあまり縛られたくないということだと思われて、不採用にされてしまいます。自社に何をもたらしてくれるのかが見えてこないからです。
企業がUターン人材を求めるのは、会社を大きくしたい、強くしたいという思いからです。「あなたがもっているすばらしいスキルやキャリアを見せてください!」とワクワクしているところに、ワークライフバランスを持ち出されると、途端に興ざめしてしまいます。
もう一つのNG回答として「地元を活性化したい」というのがあります。地元の活性化は地方ではどこも課題なので、地元を元気にしたいという思い自体は悪いことではありません。ただ、「では具体的にどうやって活性化するのか」と聞かれたとき、相手が納得できる具体的な答えが必要です。そもそも、地元に住んで地元の会社に通うことが地域活性化なのかについても考えが分かれるところです。
それで地域活性になるのなら、どの自治体もこんなには困っていないはずです。それなら転職するよりふるさと納税をしてもらったほうが地元の役に立つというものです。
つまり転職の動機や目的として、地域活性や地元貢献はあまりに漠然としていて具体性に欠けているのです。
どこかのテキストからお手本の答えを引っ張ってきたような、あるいは「地域活性と答えておけば、高い志があるように思ってもらえるだろう」というような表面的な回答に感じられます。
面接官はたくさんの人を見てきたプロなので、その人が本心で喋っているかや本気で伝えにきているかどうかというのは肌感覚で分かります。よそから借りてきた言葉や表面だけ繕ったきれいごとでは、到底納得させられません。