(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもは自分が他者に貢献していると感じられたとき、自分に価値があると感じることができます。親子関係でも子どもの貢献に着目し、積極的に評価してあげることだといいます。精神科医の和田秀樹氏が著書『アドラー流「自分から勉強する子」の親の言葉』(大和書房)で解説します。

「ありがとう」で子どもが自信を持つ瞬間

■××してくれてありがとう

 

精神分析学には「投影」という概念があります。

 

簡単にいえば、自分自身のことをダメだと思うと、ついつい「自分はみんなの役に立っていない」「自分には生きる価値がない」と思ってしまう。そこから、まわりの人たちが敵に見えて怖く感じるようになるということです。

 

自分が役立っていると思えない限り、人は周囲の人を敵視する傾向があります。子どもが対人関係でつまずくのも、実はここに原因があります。

 

子どもは自分が他者に貢献していると感じられたとき、自分に価値があると感じることができます。他者に貢献することで、友好な対人関係を結べるようにもなります。ここで重要となるのは、親子関係の中で子どもの貢献に着目し、積極的に評価してあげることです。

 

「貢献」といっても、あまり大きく考えなくても大丈夫です。たとえば図画を共同制作したことでも、運動会の騎馬戦で騎馬の「足」として頑張ったことでもいいので、「みんなのためによくやったね」などと声をかけるとよいでしょう。ささいな出来事でも「自分は役に立っている」と思わせればよいのです。

 

家庭内では、お手伝いなどの貢献について「××してくれてありがとう」と感謝の言葉をかけていくのが一番です。

 

私の子どもはそうでもありませんでしたが、料理をしたがったり、洗濯物干しを手伝ったりしようとする子もいます。子どもが大人の真似をしたがるのは「発達欲求」があるからです。そんなとき「かえって汚くなるからやめて」などと言うと、子どもは否定された気分になります。

 

貢献したいという意欲は、喜んで受け入れてあげましょう。

 

ところで、子どもは料理をしたいのに、洗濯をお願いしたいというときがあります。この場合は、「今は洗濯を手伝ってもらったほうが嬉しいな」と言ってかまいません。大人の社会でも、需要と供給によって雇用が成り立っています。やりたい仕事ばかりできるわけがないということを、きちんと理解させておくのも大切です。

 

自分に価値があると実感できれば、子どもは進んで働いてくれるものです。

 

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