主体性を身に着けるには…
■点数が悪くても明るく笑い飛ばす
テストが返ってきたら「笑ってあげること」です。悪い点であれば、「ガハハハッ」と声を出して笑います。不安だった子どもの顔が明るくなるはずです。
笑い飛ばした後になって初めて、「テストの見直しをしようか」「間違えた要因はなんだろうか」と答案の分析を始めます。間違いは成長の糧であると実感できるよう、改善策を模索していきます。「自分で考えて行動する」習慣を試行錯誤しながら育んでいきましょう。
<「暗記」ではなく「理解」を大切にするために…>
丸暗記でなく理解を促すには、2つのことを実践してください。
①「なぜ」を繰り返させる
本質的な理解を試みる子どもはよく質問します。「なぜ」を繰り返します。質問は、理解しようとしている証です。質問全てをポジティブにとらえることです。「仕様もない質問」「ダメな質問」は禁句です。成績が悪い子ども、モチベーションの低い子どもを指導する際には、「今日の目標は、質問を10個すること!」と笑顔で伝えます。鋭い質問があれば、大いに褒めます。そこを授業の出発点にすれば、子どもの勉強への取り組み方も変わってきます。
⇒「なぜ」の繰り返しが理解を深める
②「間違い」を褒める
間違ったのは、問題に向き合った証拠です。間違いは過ちではなく成長の糧です。まずは挑戦したことを褒めてみてください。生きていれば何度も壁にぶつかります。その時、挑戦する力が必要になります。挑戦は必ずしも成功を約束しません。失敗を乗り越えて、挑戦し続ける姿勢が「やり抜く力(GRIT)」を育むのです。
⇒間違いと向き合うことでやり抜く力を育てる
成果の出ない長時間学習を解決するマジックワード
長時間勉強できる子は、周囲に頑張っているように映ります。しかし、実はこの長時間学習が成績下降の最大の原因であることに気づいていないのです。
長時間学習をするまじめな子は、高い集中力に欠けるところがあります。欠けているから長時間できるとも言えます。また、高度な内容を理解することも苦手です。深い理解には、高い集中力が必要です。実際、東大や京大などの難関大学に通る人の多くは、短時間集中型学習です。このタイプの子の親からは「ぜんぜん勉強しない」とよく言われます。「勉強時間が少なくて、成績が良いのに何の不満があるのだろう。勉強時間が長くて、成績が悪い子どものほうが圧倒的多数なのに」とつい思ってしまいます。
<子どもの意識と習慣を変えるマジックワード>
マジックワード1.「で」
勉強を終えた子どもにどんな声を掛けていますか。「どれくらい(勉強)したの」という質問は、ダメな質問です。なぜなら、裏をかえせば「長時間勉強したから良い」というメッセージを送っているからです。
「どれくらいでしたの」この問いに対する子どもの答えは、「30分で」「1時間で」となります。この場合に伝わるメッセージは「かかる時間は短いほうが良い」です。
⇒「早くできたのなら、まだ時間があるからもう少し勉強したら」は禁句
子どもの頭の中で「早く終えたのに、もっと勉強しなさいと言われるなら、ゆっくりやった方がまし」と不満が生じます。大人も同じです。仕事が終わって今日は早く帰ろうと思っている時に上司から、暇そうだからこの仕事してと言われるのと同じです。早く終えられることを丁寧にゆっくりするなら分かりますが、多くの場合は集中力がないまま、ゆっくり仕事をするのでかえって雑になります。
⇒「どれくらい」ではなく「どれくらいで」に言葉を換える
マジックワード2.「かい(回)」
「勉強を何回したの」は「今日はどれくらいの時間勉強したの」よりもはるかに効果的です。1時間続けて学習するよりも、短めの作業〔25分〕と短い休憩〔5分〕を繰り返すほうが作業効率がアップするという「ポモドーロ・テクニック」の説明をぜひ読んでください(【⇒関連記事:勉強の「やる気」を引き出すテク…部屋を片付ける/音楽を聴く/時計を見ない etc.】)。そこでは、長時間学習よりも、短時間複数回数の方が高い学習効果が見込める話をしています。
「回数」を聞くことで、細切れの時間への意識も高まります。1分、3分、5分を活かした効率の良い勉強ができます。記憶は、ペンキを塗るように、広く、薄く、繰り返すのがコツです。時間より回数なのです。
⇒「どれぐらい」ではなく「何回したの」に言葉を換える