中学生になったら「決断力」を育てよう
■ぐずぐずして何もしていないように見える原因は、「決断力のなさ」
親から見て「いろいろ時間がかかりすぎている」と思う子どもは予想外に多いものです。
中学受験は、子どもが勉強に集中できるよう、親と塾が子どもに関するさまざまなことを決定しています。子どもに決めさせると時間がかかるのです。自分で決めることのない受験生活を長く続けた結果、子どもは自分で決める力が身についていないのです。進学校になればなるほど、この傾向が強く見られます。
このように、何もしていないように見える、つまり、行動が見えない背景には決断力のなさが隠れている場合は少なくありません。決断力がないために何をしてよいか分からないまま時が過ぎたり、一度始めた勉強も途中で違うことが気になって手が止まったり、自分のしていることが本当に正しいのかどうか迷ってしまっている可能性があります。
⇒決断力のない子どもは何事にも時間がかかりすぎる
■決断力のない子どもの特徴
決断力のない子どもの中には、完璧主義が潜んでいる場合があります。決断力がないのではなく、失敗したくない、正しい方を選びたいという思いが強すぎるため、決断に踏み切れないのです。間違いたくない、失敗したくない、人から悪く思われたくないと思うあまり、要するに完璧を求めすぎるために、決断を遅らせてしまうのです。決断力のない子どもは「流されやすい」「自立できない」「ストレスに弱い」などが特徴として挙げられます。
⇒完璧主義が自立できない原因になる
「決断力のない子」は大学入試でも不利
自分で決められない子どもは、問題を解くスピードが遅い傾向にあります。解答の選択肢をあれこれ考えすぎて決められないでいるか、完璧を求めて必要以上に一問一問に時間をかけているかのいずれかです。合格点を競うのが試験です。決めきれずに時間がかかりすぎると、他の問題の解答時間が減ったり、最後まで終わらなかったり、見直しができなかったりします。
解くスピードが遅いのは致命的です。共通テストのような比較的やさしい問題が多数出題される場合に、解答スピードが遅いと最後の問題までたどり着かないか、焦りのあまり思考力が正常に機能しないということが生じます。また見直しの時間が取れないので、ケアレスミスを発見することもできません。
記述問題も同様です。記述問題では、小さなミスの積み重ねが大きな失点につながります。また、じっくり向き合った問題でも他の問題を解いたあとにもう一度見ると、ミスだけでなく新たな発想、着想を得られることも少なくありません。大学入試の数学の問題は、難しいと思った問題が他の問題を解答したあとに再度見れば解けることはよくあることです。時間的余裕があるからこそ、難しい問題にじっくり取り組むこともできるのです。
⇒決断力は時間的余裕を生み出す
決断力を鍛えるお勧めの方法、「5秒ルール」
■「自分で決めること、すぐに決めること、決めたら行動すること」がカギ
決断力を鍛えるお勧めの方法は「簡単なことを5秒以内で自分で決めて行動すること」を習慣化することです。自動販売機の前に立てば、5秒以内で飲み物を決めて、ボタンを押すことです。
元ニューヨーク州の弁護士であるメル・ロビンスの5秒ルールをご存じでしょうか。「人間の脳は5秒経つと言い訳を考え始め行動しなくなる」というものです。ちなみに彼の著書である『The 5 Second Rule』(2017年に刊行)は、全米で100万部を超えるベストセラーになっています。
「決断力を鍛えるためには、毎日コンビニで買う飲み物を変えるだけでよい」とある有識者が発言していますが、決断力は小さなことの積み重ねで鍛えることができることを言い換えたものです。
⇒日々の小さな決断で決断力を養う
乾 俊和
株式会社ドゥクエスト 代表取締役社長
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