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まじめな子が行き詰まる理由
「最近成績が下降気味です。実力試験や模試で点数が取れません。どうしたらよいでしょうか」高2生の夏あたりから一気に増える相談です。
実はこの相談は、非常に答えるのが難しい相談です。というのも、こうした悩みを抱える子どもは、まじめに努力する子どもです。周囲からは、よく勉強する子どもと思われています。このまじめさが成績不振の原因であることに、本人も親も気づいていません。また、まじめで成果を出してきた子どもは、自分の意志の強い子どもでもあります。いろいろなことを我慢して、勉強に時間を使ってきたのです。遊んでいる友達を横目に見ながら、テキストに目を落としていたのです。意志が強いことは良い面もありますが、他人のアドバイスを受け入れることを難しくしていることもあります。
<まじめな子どもに多く見られる特徴>
ここに挙げるのは一例です。全てのまじめな子に当てはまるわけではありません。
①主体性が育ってない
先生や友達、親に言われたことを、考えることなくそのまま実行する子どもがいます。主体性に欠けているので、誰かが決めてくれなければ自分が何をすべきか分からず、指示されなければ行動できないのです。
②間違い、失敗を極端に恐れる
このタイプの子どもは、新たなことにチャレンジすることを避ける傾向にあります。間違い、失敗=悪と思い込んでいます。「失敗したくないからイヤ」なのです。多くの場合、成功は躓きや失敗の向こう側にあります。失敗を否定的にとらえて消極的になっていれば、成功へと近づくことはできません。
③本質的な理解をしようとしない
まじめな子どもは「大切だから覚えておきなさい」と言われると、何の抵抗もなく覚えようとします。考え方や思考のプロセスを重視しません。「正解を教えて」と聞きに来る子どもは要注意です。試験では同じ問題は出ません。同じ考え方で解ける問題が出るのです。丸暗記なので応用力がないのです。模試は学年が上がっていくと、知識自体よりも知識の運用能力(応用力)を問う問題が増えてきます。
④自分はできないからと決めつけている
できないと思っている子どもに、行動させることは困難です。自分はできないと思い込んでいます。「やっても無駄」「どうせできない」と決めつけてしまっています。
⑤復習のやり方が悪い
復習の下手な人は「復習とは、テキストとノートを読み直すこと」と思っています。復習とは理解したことができるようになることです。知識を頭に入れることではなく、知識を頭から出すこと、つまり正確にアウトプットする訓練です。
⑥工夫しない
高校生に入ると、学習内容が高度になるうえ、進度も中学生時と比べようがないくらい速くなります。工夫と知恵によって問題解決を試みてきた子どもと、時間で問題解決をしようとしてきた子どもの差は、学年が上がるにつれて顕著に出てきます。中学生の時の勉強の仕方に問題があるケースがほとんどです。
⑦勉強を時間で測る
まじめな子どもは、長時間勉強は苦痛ではありません。むしろ長時間することで満足を得ています。親も子どもが長時間勉強していると安心するので、「頑張っているね」と声を掛けることが多くなります。無意識のうちに勉強とは長くすれば良いものと考えてしまいます。成果を出すことが二の次になっています。「効率の悪い勉強」を「成果の出る短い勉強」よりも優先するのです。
⑧完璧主義である
まじめな子どもの中には、完璧主義な子どもがいます。何事にも全力で頑張りすぎるため、ストレスを溜めがちです。また、失敗を過度に恐れてなかなか物事を始めることができなかったり、全か無かという極端な思考に陥りやすい傾向にもあります。