合格者の話や塾・予備校の合格実績は参考にならない!?
■「生存者バイアス・合格者バイアス」にとらわれるリスク
「生存者バイアス」という心理学の用語をご存じでしょうか。生存者バイアスとは、人間の記憶は、成功した人や事柄の話や経験ばかりに注目し、失敗した人や淘汰されたものを軽視してしまうバイアスのことです。
⇒合格実績よりも不合格実績のほうが塾・予備校の実体を表す
■「当初想定していた第一志望大学」に合格する率は10%程度
生存者バイアス・合格者バイアスにとらわれてしまい、自分に合った学習法が分かっていない親や子どもは少なくありません。大学受験は、中学生の際の第一志望に合格する率は一部の超進学校を除けば10%程度です。多くの場合、途中で何度も道に迷い、躓きながらその道を歩んでいくのです。
期待よりも不安にさいなまれることのほうが圧倒的に多いのが大学受験です。自信がない時は、誰彼となく人にアドバイスを求めたくなるものです。残念ながらアドバイスを求められる人も、個人的な経験しか持たないため、有効なアドバイスができることはほとんどありません。「あの塾に行ってみたら」「あの先生に相談してみては」というのが関の山です。
大学受験合格から遠ざかる人の決定的特徴
■「自分で考えない人」から失敗していく
動画サイトを見ていた時、有名な動画配信者が「必ず失敗する人の典型は、自分で考えない人である」と断言していました。自分の頭で考えない人は権力や権威に弱く、流行や喧伝に流されて失敗するのだとバッサリと切り捨てていました。確かに、流されやすい人の多くは、「自分に自信がないから、人に決めてもらいたい」「多数の人が支持しているから、大丈夫だろう」「人に任せておいたら自分は責任を取らなくて済むから」といった心理が根底にあるようです。
大学受験に関しても、自分で考えない人たちがいます。「テレビで大々的に宣伝しているから…」「Aさんの子どもが通っているから…」「友達が行っているから…」「Bちゃんが良いと言っているから…」「xxは合格実績があるから…」。きっかけとしては否定するものではありませんが、実際に子どもを通わせるとなると、自分で良し悪しを調べるべきです。
どんなに人に合っていても、自分の子どもに合っているとは限りません。教育は「シャンプー」のような日用品を買うのとは別物です。一度始めると簡単には変えることができません。そのうえ、変えてばかりいるとかえって子どもは大学受験合格から遠のくことになります。
⇒自分で考えることをしない人から失敗していく
■情報が増えれば増えるほど人は考えなくなる。悩んだらプロに聞くべき
オランダのラドバウド大学の心理学者ダイクスターハウスは実験によって「情報過多になると人は正確な判断ができなくなる」「情報が少ないほうが優先順位をつけて考えるためより正確な判断ができる」という理論を発表しています。実際、私たち誰しも「情報を集めれば集めるほどどうして良いか分からない」状況に陥った経験を持っています。
迷った時や情報過多で判断できない時はすぐに、経験豊富な学校や塾の先生に相談してみることです。風邪をひいたら早い段階で医師に診てもらうのが大切です。近くの友達に見てもらっても何の解決もしません。また可能であれば、かかりつけの医師と同じく、かかりつけ的存在の専門家をそばに置いておくことです。何か起きる前に、何かが起きないように、事前にその策を提示してくれる可能性もあります。悩んでも解決しないと思った時には、すぐに専門家に相談することをお勧めします。
⇒情報過多が迷いや失敗の原因
⇒情報に流される前にプロのアドバイスを求める
乾 俊和
株式会社ドゥクエスト 代表取締役社長
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