(※写真はイメージです/PIXTA)

わが子を中高一貫校に通わせる保護者からよく聞く悩みの一つが、「スランプをなかなか抜けられない」というもの。わが子の学習上のスランプに対して、親がしてあげられること、効果的な対処法はあるのでしょうか? 塾講師として30年間、中高一貫校に通う生徒の難関大学現役合格をサポートしてきた乾俊和氏が解説します。

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スランプの時こそ子どもと向き合おう

■スランプは「頑張った証拠」

成績が突然急落したり、不調になったりするとスランプではないかと疑いたくなります。そもそもスランプは頑張った証拠です。頑張ってない人にスランプは決して訪れません。スランプをネガティブにとらえるのではなく、課題克服の機会ととらえてください。

 

■「思い込みスランプ」が一番やっかい

スランプの要因としては、「目標が高すぎる」「知識の急激な増加に思考が追いついていない」「マンネリ」などがよく指摘されます。経験からすると最も多いケースは、少しでもうまくいかない時に、自分は「スランプだ」という思い込みから始まるスランプです。

 

この思い込みが自己暗示となり、やがて深刻化し、学習意欲の急激な低下に至り、脱出できないほどのスランプに陥ります。

 

⇒思い込みスランプにならないよう、早めに手を打つ

 

■スランプへの対処法は「スランプになる前に」考えておく

スランプは努力している限り、必ずと言っていいほど起きる現象です。したがって、スランプになってから対処方法を考えるのではなく、スランプを想定してスランプに陥る前にスランプの場合の対処方法を考えておくことが大切です。スランプに陥っている子どもに「ポジティブになれ」とアドバイスする人がいますが、ポジティブになれないからスランプに陥っているのに何の解決策にもなりません。

 

“Hope for the best, but prepare for the worst.”

 

古代ローマ時代の哲学者のセネカの言葉です。

 

「最善を願いながら、最悪に備えよ」「備えあれば憂いなし」。良い時は永遠に続かないし、悪い時も永遠に続きません。だからこそ、良い時に悪い時の具体的な対処法を考えておきます。「スランプ脱出法」とタイトルをつけて、具体的な脱出法を箇条書きにしたものを目に見えるところに貼っておきましょう。

 

⇒勉強が順調な時にスランプ対策をしておく

「スランプかな」と感じたら、スランプ脱出法を実践

スランプを感じたら即実践です。あれこれ考えてはいけません。スランプの時は悪い情報がどんどん目に入ってきます(気分一致効果)。考えれば考えるほど、悪い方向へと進んでしまいます。

 

■スランプ時は「アクティブな活動」で気分転換

勉強においてはスランプと感じたら、以下の方法をお勧めします。「復習中心の学習に変える」「体を使った学習を取り入れる」「音読をする」「人に説明をする」「暗記科目であれば、歩きながら覚える」などの工夫をしてみてください。体を動かせば、エネルギーややる気が出てくる場合があります。アクティブな勉強方法を取り入れることで、気分転換にもなります。

 

勉強以外の方法で気分転換を図るのも一法です。「バッティングセンターやボウリングに行く」「カラオケに行く」「30分散歩をする」などです。一人ではなく複数人でするほうがさらに気もまぎれます。短時間でかつ汗をかくものをいくつか書き出してください。スマホやゲームなどは時間の制限を守ることが難しいため避けるのが無難です。

 

⇒スランプ時は考え込まず体を動かそう

家庭内でできるスランプの克服法

①規則正しい生活をする

土曜日の夜・祝日の前の夜はいつもよりも早めに就寝し、良質な睡眠を取ることです。休みの日の朝をさわやかに迎えることができます。天気が良ければ朝一番の太陽の光を浴び、さわやかな外気に触れましょう。朝型の生活リズムへと変えることで、規則正しい生活に移行していきましょう。

 

②復習中心の学習をする

スランプと感じた時は、復習中心の学習に変えることをお勧めします。スランプの原因が、知識同士の混乱や知識が定着していないことにある場合も少なくありません。具体的には、以下の2つです。

 

●やさしめの問題を数多く解く。「できる」実感を持つことで少しずつ前向きになれます。

●ノートやプリントを見直す。自分が書き込んだノートを見ることで、過去の頑張っていた自分を思い出すことができる。

 

③詰め込みから理解に基づく暗記への移行

まじめに努力する子どもによくあるスランプの原因が丸暗記学習です。暗記する知識が少ない時や単純な時は、一定の成果が出るのでかえって厄介です。勉強が進むと覚える知識が増え、どんどん抽象的になっていきます。この段階になって初めて、丸暗記を悔やんでも取り返しはつきません。理解のない暗記はやがて行き詰まります。やさしい内容の時から、理解を優先した学習をお勧めします。

 

⇒暗記で行き詰まったら個別指導で初めからやり直す

スランプではなく「プラトー」である場合

プラトーとは、今まで順調に成長してきていたものが、横ばいになり成長が停滞してしまう現象およびその時期のことを指します。スランプとの違いは、スランプはパフォーマンスが低下していることに対して、プラトー現象は成長の停滞期を意味します。

 

⇒プラトーは成長のために必要な停滞期

 

■プラトーからの脱出法

プラトーの克服方法は「自分がプラトー現象に陥っていると認識すること」また、「成長にはプラトーがつきものであり、その向こう側には飛躍がある」ということです。スランプと異なり、これまでの勉強方法を無理に変える必要はありません。もちろんモチベーションが低下していたり、マンネリに陥っているならば学習目標を再確認や微調整したり、勉強に新たな工夫を加えたり、環境を少し変えたりすることも良いかもしれません。

 

⇒これまで通りの学習を続けること

 

 

乾 俊和

株式会社ドゥクエスト 代表取締役社長

 

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    ※本連載は、乾俊和氏の著書『具体的すぎる難関大学現役合格メソッド40』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

    中高一貫校生徒の親が知っておくべき 具体的すぎる難関大学現役合格メソッド40

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    乾 俊和

    幻冬舎メディアコンサルティング

    勉強への意欲がアップする! 定期テストや模試の成績も上がる! 東大合格も夢じゃない! 塾講師として中高一貫校に通う子どもたちを約30年間サポートし、学校の最下位グループから東大理IIIや京大医学部に進学させた実績…

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