【関連記事】「経営者になりたい人」募集?中小企業の「後継者探し」最新事情
年収減が生活の質の低下に直結しない
■「年収や生活レベルを下げたくない」が強過ぎると転職活動は難化
転職活動の企業選定では、転職後の年収の問題が大きなネックになります。年収を下げたくないとか生活レベルを落としたくないという思いは、どのクライアントにもあります。これはUターン転職だろうが都会での転職だろうが変わりません。
ただ、都会は転職先が多くあるので年収維持やアップは比較的簡単にできます。そもそも都会で転職する理由は、キャリアアップか年収アップのためであることが多いのです。
それに対して、地方は転職先が限られます。給与の設定も都会よりは相場が低めの企業が多いです。そのため地方に転職した場合、収入額そのものは下がる可能性もあります。
地方への転職によって年収がどう変化するかを調べたデータ(中小企業白書2015年「UIJターンを伴う転職による年収の変化」)を見ても、その傾向は明らかです。
図表によると、過半数が減収となっていますが、減収の程度は1割減~5割以上減まで幅があります。また、「減収していない」という人も44.8%を占めています。
転職したからといって必ず減収するわけではなく、半分とはいかないまでも、現状維持および年収アップの可能性もあるということです。
減収でも満足度高めなのが地方転職の特徴年収の考え方で大事なのは、減収が生活の質の低下には直結しないという点です。私のクライアントにヒアリングしたなかでは、むしろ「年収は多少下がったが都会にいた頃より生活の質は向上した」「仕事もプライベートも充実した」という人が多いです。
リクナビの調査によれば、首都圏と地方の収入格差は最大で2割ほど地方のほうが低いとあります。
しかしながら、「今の年収に満足しているか」を見ると、北海道や東北、中国、四国で半数以上の人が「満足」と答えています。一方、年収の比較的高い関東や東海では「不満足」と答えた割合が6割以上を占めます。つまり、年収の高さと満足度は比例しないということがいえます。
また、国土交通省の統計(図表)によると、都道府県別の経済的豊かさで東京は最下位となっています。中央世帯とは、都道府県ごとに可処分所得の上位40%~60%の世帯を指します。基礎支出は「食料費」+「(特掲)家賃+持ち家の帰属家賃」+「光熱水道費」の値です。